Dynamics 365

中堅・中小企業におけるERP導入のメリット

ERPとは?

ERPとは、英語を直訳すれば「業務・経営資源を活かしたプランを作るための試み」ですが、一般的には「自社のほとんど全ての経営情報を集めるデータシステム・データベースの集合体」と言われています。

現在は、現場のいろいろな課題を多くの情報をITで集めて定量的に経営状態を掴むことによって解決するため、日本においては、ERPは基幹系情報システム、あるいは統合基幹業務システムなどと言われています。

ERPは、販売・営業・物流・財務・経理など、会社の中にある全ての情報を一元的にITによって管理するものです。給与管理や会計管理、人材管理、在庫管理などについては、企業によっては個別のシステムを業務や部門ごとに導入している場合もあるでしょう。一方、ERPの場合は、一元的にそれぞれの管理ができるので、経営戦略を決定したり、基幹業務を効率アップしたりするために役に立ちます。

ERPが提供するサービス

ERPがユーザーに対して提供しているサービスは、

  • 予算管理
  • 財務会計管理
  • 販売管理
  • 倉庫・在庫管理
  • 購買管理
  • 顧客管理
  • 営業支援管理
  • 人材管理
  • プロジェクト管理
  • マーケティング管理

などが挙げられます。これらをパッケージ化されたシステムをERPパッケージと呼びます。ERPパッケージによって、利用できるサービスがことなるため、導入前にどのような課題を解決するために導入するかを十分検討する必要があります。

中堅・中小企業のERP導入のメリット

では、中堅・中小企業がERPを導入するとどのようなメリットがあるのでしょうか?中堅・中小企業のERP導入のメリットとしては、次のようなものがあります。

・情報の一元管理ができる

ERPを導入されていない企業では、経理システムでは会計情報を管理し、営業システムでは営業情報を管理するというように管理を個別に行っていますが、ERPの場合は一元的にこのような全ての情報を管理ができます。一元的に情報管理をして組織横断的に情報共有することによって、情報を全社的に利用することができ、さらに情報を集めるための時間を短縮することができます。例えば、個別のシステムを部門ごとに導入していれば、数値がそれぞれのシステムで一致しないなどのために、検討したり、訂正したりすることが必要になります。一方、ERPの場合は、統一性がある情報を一元的に管理できるため、このようなことはありません。

・業務効率がアップする

ERPの場合は、一つの業務の情報を入力すれば統合情報が更新されます。また、一元的に業務が処理できるようになっているので、情報が部門にまたがって更新され、連携が部門同士でよく取れるようになります。一度入力した情報を共有するため、入力する際の間違いが少なくなって精度がアップします。

また、一元的に情報管理を行うことによって大幅に作業を少なくすることができるため、業務効率がアップします。例えば、経費精算や人事労務などのシステムが、会計ソフトに連携するケースについてご紹介しましょう。集計を会計のために行ったり、再度情報を入力したりするなどが省略できるため、業務効率がよりアップするでしょう。ERPの場合は、1つのシステムでこのようなことを途切れることなく実行できるので、業務を無駄なく行うことができます。

・経営者が意思を迅速に決定できる

ERPを中堅・中小企業が導入すれば、いろいろな社内の経営情報が一元的に管理できます。例えば、一元的に経営情報として売上情報、在庫情報などを管理することによって、経営者が意思を正しくより迅速に決定することができるようになります。しかも、経営が分析できる機能がERPのほとんどは搭載されているため、膨大なERPに保存されている情報をすぐに集めて分析することができます。これまで情報を集めたり、分析したりするため使っていた時間が非常に少なくなるため、経営者が意思をより迅速に決定することができます。経営に対するスピード性が現在は要求されているため、非常にこのことはメリットがあります。

・コスト削減できる

自社でもERPは作ることができますが、費用が非常にかかり、さらに時間も労力も非常にかかります。一方、ERPのクラウドタイプのものであれば、非常に費用が低減できます。また、メンテナンスするための費用が、ERPのクラウドタイプの場合は必要ありません。また、ERPの場合は連携が別のクラウドサービスとできるものが近年は多くなっているため、運用がこれまでより柔軟にできるようになっています。

・経営資源を見える化ができる

ERPの場合は、一元的に情報管理ができる以外に、経営分析機能という統合情報が分析できるものを搭載しているので、経営資源を利用している状態が見える化でき、タイムリーに経営状況を掴むことができます。現在は、経営者の意思をより素早く決定することが要求されているため、これは非常にメリットがあります。

・顧客満足度がアップする

営業情報や顧客情報などを一元的に管理することによって、対応がより的確にできるようになります。また、受注を急に行うような場合でも、別の部署に聞かなくても対応が迅速にできるので、顧客満足度がアップします。ERPとして顧客対応が充実したものを導入することによって、より的確かつ迅速に顧客対応ができるため、さらなる顧客満足度のアップが期待できます。

ERP導入で注意すること

ERPは、先にご紹介したような多くのメリットがありますが、一方、導入時に注意することもあります。

導入目的をはっきりさせる

まず、ERP導入では、導入目的をはっきりとさせ、ゴールを明確に設定しましょう。よくあるケースでは、目的がはっきりしないため、要件や仕様が固まらず、ずるずる導入期間が延びてしまい、結果的に導入期間もコストも大幅にオーバーしてしまう場合があります。最悪のケースではプロジェクト自体がストップするというケースもあります。

不必要な開発をせず、パッケージに業務を合せる

これまでの経験でERPの導入が失敗してしまう一番の原因は、パッケージの標準機能を利用せず、自社の業務要件に合せて開発をしてしまうことです。自社業務に合せて開発することは理想的ではありますが、現実は思ったようにいきません。パッケージの特性を活かすことができないまま、投資効果が低下していきます。自社の要件の開発は必要最低限に抑えることが必要です。できるだけパッケージの特性を理解し、パッケージの標準機能でどのように業務を行うかという視点をもって導入するとERPパッケージの効果が発揮できます。

クラウドERPが着目されている

クラウドERPは、内部統制を強くするために、中堅・中小企業でも導入されています。内部統制というのは、自発的に自社の組織を統制するためのものです。中堅・中小企業の場合は、特に内部統制に対する対応が大切になります。

しかし、中堅・中小企業の中には、急速に事業を拡げることを最も優先してきたようなところもあるでしょう。このような場合は、個別にシステムを最適化することによって、複雑な業務の流れになっていたり、制度や業務を改善するチャンスが無かったりして、内部統制をどのようにすればいいか分からない場合も多くあるでしょう。このようなことから、内部統制を強くするために、導入が割合安くでき、しかも情報の連携や一元的な管理、業務の流れの改善、見える化ができるクラウドERPを導入する中堅・中小企業が多くなっています。

まとめ

いかがでしたでしょうか?これまで大企業向けに導入されてきたERPがクラウド化によって、中堅・中小企業にも安価に導入することができるようになってきました。経営資源をクラウドERPで一元管理し、経営スピードをアップさせ、より多くの価値を生み出せるように活用していってみてはいかがでしょうか?

プロジェクトにおけるリソースの管理方法クラウドCRMはなぜ中堅・中小企業に向いているのか?