厳しい市場環境のなか、新しい顧客の獲得や販路の確保にお悩みの企業様も多いことでしょう。地道な努力が重要ということは知っていても、目の前に有望な見込み客が現れてくれないかと、つい思ってしまった方もいるのではないでしょうか。
MA(マーケティングオートメーション)を活用することで、有望な見込み客(ホットリード)に出会えるチャンスを増やせます。これは見込み客(リード)の属性や行動をシステムでチェックし、ホットリードを抽出することで実現されます。加えて、すぐに商談に結びつかないリードも自動でフォローできますから、未来の商談を増やすことにも役立ちます。
この意味で、MAは小規模な組織や中堅・中小企業でも導入効果が見込める製品といえるでしょう。本記事では理由を3点述べた後、上手に活用する3つのポイントを解説していきます。
営業上の課題
営業活動を進める上では、さまざまな課題があります。そのなかでも従業員数や知名度、広告費を課題にあげる企業は多いことでしょう。それぞれどのような課題があるか、確認していきましょう。
従業員数が少ない
従業員数が少ないことが課題となる組織、中堅・中小企業は多いことでしょう。必然的に営業担当者も少なくなるため、以下のような戦術はなかなか取りにくいものです。
- 顧客リストを片手に、片っ端から電話する
- 少しでも成約の見込みがあれば、積極的に見込み客を訪れ商談を行う
営業担当者1人1人の活動が経営に大きく影響します。たとえば訪問先を選んだ結果、商談を失注してしまうケースを仮定しましょう。もしかすると選ばれなかった訪問先のなかに、有力な商談があったかもしれません。安易に訪問先を選ぶと、この両方を失注することにつながります。その為、訪問先の選定もより慎重に行う必要があります。なかでもホットリードを正しく見極めることは、事業を拡大し収益を上げる重要なポイントです。
知名度が高くない
会社や製品、ソリューションの知名度が高くないケースも多いです。業界最大手や有名なサービスのように、「〇〇を作っている会社だから、有名な製品だから安心」と認識してもらえるわけではないため、自ら製品やサービスを知ってもらう努力をしなければなりません。
もっとも近年では顧客の好みが細分化されていることが特徴ですから、興味のある層に認識してもらえばよいわけです。その場合でも貴社の製品やサービスをどう知ってもらうか、工夫が必要なことは変わりありません。
多額の広告費を使えない
少ない広告宣伝費をどう有効に使うかがポイントとなります。収益に結びつけるにはどの層をターゲットとするか、また宣伝する手段を絞らなければなりません。
対面での営業や販促活動が行いにくくなった
展示会への出展を重視する企業も多いことでしょう。しかし2020年の新型コロナウイルス感染拡大に伴い、オンライン開催や中止となった展示会も多くなっています。加えて営業担当者が見込み客のもとに訪問しても、担当者が在宅勤務のため会えないケースも増えています。
このように、対面での営業や販促活動が行いにくくなったことも課題の1つです。
MAを導入すべき3つの理由
このような営業上の課題を解決するには、MAの導入が有効です。それはなぜなのか、3つの理由に分けて解説します。
1.新規案件の獲得に追われなくても、リードから有望な案件を獲得できる
MAを活用することで、対面や電話を使って案件を取りに行く営業活動から、有望なリードをピックアップして営業に出向くスタイルに変えることができます。これはMAにより以下の施策を取ることができ、興味・関心のある方が自ら貴社にアプローチしてくるためです。
- ランディングページを設置し、問い合わせフォームから情報を提供してもらう
- Webメディアに記事を掲載してもらい、自社を知ってもらうきっかけをつくる
- オウンドメディアやSNSを活用して集客する
もっとも、効果的に集客できる施策やコンテンツづくりには工夫が必要です。しかしいったんうまくいけば、待ちの姿勢で集客できます。これは人員が少ない組織にとって大きなメリットです。もう電話や飛び込み営業など、新規案件の獲得に追われる必要はありません。
2.成約が見込める案件に営業担当者を集中できる
貴社が提供する製品やサービスをどのタイミングで、どれだけ求めているかは、リードによりさまざまです。すべてのリードに対して同じように営業活動を行うことは不可能であり、またそうすべきでもありません。重要なことは成約が見込める案件を見極め、営業部門のリソースを集中させることです。
MAの活用により、ホットリードを自動で抽出できます。成約が見込める案件がわかりやすくなるため、営業担当者の成約率もアップし、業績の拡大につながります。
3.無人で多数のリードをフォローできるため、費用対効果が高い
ホットリード以外のリードはすぐに売り上げにつながらないため、優先度が低くなりがちです。しかし放置しておくと、競合他社に取られてしまいかねません。一方で大量の人員とお金を投じてフォローすることも、よい経営資源の使い方とはいえません。
MAには、メール配信の自動化などの機能があります。無人でも情報提供を行えるため、多数のリードを適切なタイミングでフォローできます。もし見込み客から何らかのアクションがあれば、適切に対応することでリードの育成につなげることも可能です。たとえ人やお金といった経営資源が乏しい企業でも、有効なマーケティングが行えることもMAの強みです。
MAを上手に活用する3つのポイント
MAはうまく使うと業績の拡大に役立ちますが、打ち出の小槌ではありません。このため上手に活用するには、3つのポイントを押さえておく必要があります。MAを導入した組織や企業はどの点に留意すべきか、順に解説していきましょう。
1.MAはあくまでも道具。選定前にマーケティングの方針を決めておこう
MAは効率的な営業活動と業績アップを両立できるツールですが、営業方針を決めてくれるツールではありません。MAを上手に活用するためには、あらかじめ以下の点を明確にする必要があります。
- MAで解決したい、営業の課題
- ペルソナ(商品やサービスを活用する、代表的なユーザーの特徴)
- MAを活用する目的とゴール
加えて、MAの選択も重要です。貴社の戦略通りに営業活動を進めることが成功の道筋ですから、必要な機能が揃っているMAを選びましょう。これは会計システムなど、業務をパッケージに合わせることがおすすめのシステムとは対照的です。
2.有望なリードを絞り込む工程が不可欠
本記事の前半で解説したとおり、マンパワーが不足しがちなことが悩みの種です。メールを大量に送ったり、多くの営業担当者を訪問させたりすることはなかなか難しく、またそうしても効果は上がりません。売上を上げるためには見込み客それぞれの成約可能性を慎重に見極めた上で、有望な見込み客に営業担当者を送り込むことが重要です。このため、定期的に有望なリードを絞り込む工程が欠かせません。
もっともMAなら、有望なリードを知ることは容易です。MAを有効に活用するためには、日ごろから見込み客に関する情報を速やかに、正しく入力する取り組みが不可欠です。
3.クロージングを急がない
MAにより「ホットリード」とされた商談は、見込み客の購入意欲が強いためすぐにでも成約できると思ってしまいがちですが、必ずしもそうではありません。見込み客が納得して契約することが、顧客満足につながります。このため商談の際は、丁寧な説明と質問への回答を行いましょう。その上で、クロージングを急がないことが重要です。
特にBtoBの案件では、予算取りが絡むケースも少なくありません。たとえば現場はすぐに欲しくても、来期での予算とされてしまえば契約できないわけです。あるいは経営幹部が首を縦に振らないため、説得に時間がかかるケースもあるでしょう。このような場合、営業担当者は早くクロージングしたいあまりに急かしてしまいがちですが、その行動は破談につながりかねません。成約までに時間がかかりそうなケースは、適切な時期が来るまでフォローし続けることも有効な戦略の1つです。
MAの使い方を工夫することで、厳しい競争を勝ち抜ける
MAは営業の進め方を、量から質に変えることが特徴です。たとえ見込み客が少なくても、成約率が高ければ業績のアップが見込めます。このため大量の営業担当者を抱えていない企業でも、競争に勝つチャンスがあります。もちろんランディングページなど、コンテンツの作成やメンテナンスには知恵と工夫が必要ですが、人数の少ない組織や中堅・中小企業でも業界大手と渡り合う上で有効な武器になることでしょう。
貴社の製品やサービスを一刻も早く世間に知ってもらうためにも、ぜひMAの導入をご検討ください。
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