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デジタルトランスフォーメーションに取り組まないリスクについて

現代のビジネスでは、DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が叫ばれています。DXは単なるシステム更新というだけではなく、社内ルールやビジネスモデルの転換を含めたものです。このため、DXを導入する必要性を真剣に考える方も少なくありません。

一方で、「ITはコストなので、大切な経営資金をなるべく投じたくない」と考える方もいるのではないでしょうか。しかしこの考えは、将来に対してリスクを生みかねません。

今回はDXを行わなかった場合に考えられるリスクを、大きく4点に分けて取り上げます。コスト削減を徹底するあまり、将来の利益アップにつながる投資をしないことは良い結果を生みません。ITに関心の薄い方こそ、ぜひお読みいただけますと幸いです。

ITシステムが老朽化するリスク

ITシステムは大きく、以下の2つに分けられます。

  • ハードウェア(サーバ本体、従業員が使う情報端末、プリンタ、ルータなどのネットワーク機器など)
  • ソフトウェア(基本ソフト(Windowsなど)、業務ソフト、オフィスソフト、セキュリティソフトなど)

ハードウェアとソフトウェアは、ともに老朽化するリスクがあります。また、どちらも永遠に使い続けることはできません。さらにメンテナンスに従事する人も年齢を重ねますから、いつかは御社のシステム担当から離れることになります。

ここでは3つのリスクについて、詳しく解説していきましょう。

ハードウェアに関するリスク

サーバなどのハードウェアには、保守サービスの期間が設けられています。その期間は5年が一般的であり、決して長くはありません。一部のメーカーは10年の保守期間を設けていますが、期限があることには変わりありません。

保守サービス期間を過ぎると、原則として修理ができなくなります。故障が即業務の停止につながる可能性もありますから、いつシステムが止まるかという不安を抱えながら、業務を遂行することに迫られます。

ソフトウェアに関するリスク

サーバにインストールされているソフトウェアにも、サポート期限があるものが多いです。たとえばMicrosoft製品の場合、Windows7やWindows Server 2008は、2020年1月14日でサポート終了となっています。

ソフトウェア開発元のサポートが終了すると、不具合があっても修正プログラムの提供は行われません。このため機能面だけでなく、セキュリティの問題を抱えながら業務を続けざるを得なくなります。

システムに関わる人のリスクも見逃せない

システムに関するリスクには、「人」も含まれます。どれだけ「この方にはずっとシステムの面倒を見てもらいたい」と思っていても、いつかは現場を離れるときが来ます。そのときに後任者を育成していなければ、どうなるでしょうか。たちまちシステムの保守が困難となる事態に直面します。

特にシステムの保守をシステム会社などに外注している場合は、注意が必要です。長い期間、自社の従業員同様に働いてもらっている保守担当者でも、人事権はシステム会社にあります。このため異動を命ぜられた場合、保守担当者はもちろん御社も拒否することはできません。

またIT業界は、深刻な人手不足のなかにあることも忘れてはなりません。なかでも保守費用の切り下げを続けている企業は、不採算案件として契約打ち切りを宣告されるおそれもあります。

事業運営に関するリスク

DXを行わずにシステムを使い続けることには、事業運営に関するリスクも見逃せません。ここでは主なリスクを3点取り上げ、その内容を解説していきます。

競合他社に遅れを取る

DXを行わずにシステムを使い続けたり、漫然と「現行通り」という要望でリプレースを行った場合、システムが持つ機能は開発時と大きく変わらないことになります。

このため、以下にあげる新しい方策を提案しても、システムが未対応という理由で実現が阻まれる可能性もあります。

  • ビッグデータを解析して、ビジネスに生かす
  • 経営情報をリアルタイムに確認して、すばやく手を打つ

これにより、顧客のニーズに十分こたえきれない事態を招くおそれがあります。マーケットの動きにシステムが対応できないことが原因で競合他社に遅れを取り、業績を大きく低下させる可能性も否定できません。

システムが個別最適になり、無駄が発生するおそれがある

DXを行わずにシステム開発を行うと、ITシステムが部門ごとの個別最適となる可能性もあります。特に同じようなシステムを社内の複数の部門で構築してしまった場合は、複数の部署で重複した業務を行う結果となりがちです。これは無駄なコストであり、経費の増加につながります。

また個別最適化されたシステムを連携する際には、部門ごとに異なる設計が求められる場合もあります。これも、コスト増につながる要因です。

高い保守料を支払い続ける

DXの実行により、システムの仮想化や、クラウドへ移行可能な場合も少なくありません。また個別最適になっていたシステムを整理することで、全体の構成がシンプルになる場合もあります。これらは、保守料の削減につながることが期待できます。

一方で今までのシステムを使い続ける限り、保守料も大きく下がることは期待できません。高い保守料なら、ずっとそのままとなるでしょう。無理に保守料を切り下げることは、契約解除や保守担当者のレベルダウンといったリスクを伴います。

またDXを行わず、単なるシステムのリプレースにとどまった場合、機器や人件費の高騰により保守料がアップする可能性もあります。

セキュリティに関するリスク

DXを行わないリスクには、セキュリティに関する点も見逃せません。実際にシステム被害を受けなくても、セキュリティの不備があることを理由に取引を打ち切られるおそれもありますから、注意が必要です。

社内や社外からもたらされるシステム被害のリスク

DXを行わない場合、社内や社外からシステム被害をこうむるリスクが高まります。その理由には、以下の3点があげられます。

  • ITシステムのサポート期限切れにより、セキュリティに関するリスクが高まる
  • 古い開発言語は、新しいセキュリティリスクに対応できない場合がある
  • 開発時にセキュリティに十分配慮した設計がされず、不必要な権限を付与せざるを得ない場合がある。これにより、従業員などから故意・過失を問わず、システム被害に直結するオペレーションをされるおそれがある

またシステム被害を受けた場合、その影響は自社だけでなく、取引先にもおよぶおそれもあります。実際に外部の攻撃者は大企業を直接狙うのではなく、取引先の中小企業を踏み台にするケースも増えてきています。

御社のセキュリティレベルが低いと、取引先を失うおそれもある

近年では大手企業を中心に、取引に先立ち情報セキュリティ対策のチェックを行う企業が増えています。情報処理推進機構が2017年3月に公表した報告書によると、取引の際に守るべきセキュリティ管理のルールを定める大企業は、全体の84%に達しています。

このため御社のセキュリティレベルが低いと、取引年数が長くても取引を打ち切られるおそれもあります。

ITシステムの更新に関するリスク

DXを行わない場合は、将来ITシステムの更新をする際にリスクを生む可能性があります。特に漫然とシステムを使い続けている場合は、リスクが高くなります。その理由を2点取り上げ、解説していきましょう。

更新作業に対応できる技術者がいなくなる

もしDXの実行に踏み切れたとしても、現行のシステムが古すぎる場合はそれ自体がリスクの1つとなります。それは、以下の理由によるものです。

  • 開発当時に使われた技術を知る人が少なくなる
  • 開発当時の経緯や、注意すべき点を知る人が少なくなる
  • ドキュメントが整備されていない場合は、今のシステムがどう動作しているか確認することが難しい

このためいざ見積もりを取ろうとしても、更新作業に対応できる技術者がいないという理由で断られる場合や、高額な金額を提示される可能性があります。

費用が高額となるおそれも

先ほどの項目で解説した通り、DXを行わないまま漫然とシステムを使い続けると、更新費用が高額となるおそれもあります。

もちろんDXを行わなくても、適宜システム更新を行っている場合は、最悪の事態は避けられます。その場合でも「現行通り」といった要件を漫然と提示することは、システム更新やメンテナンスコストに多額の費用を払い続ける結果となりかねません。従ってシステム更新の際にDXを行い機能の刷新を行うことは、長期的な利益の向上に寄与します。

まとめ

いかがでしたでしょうか?ITシステムはコストという一面がありますが、業務改善により利益拡大につなげられる面もあります。この点を理解せずにDXを行わず放置し続けると、企業経営にさまざまなリスクを及ぼします。加えていざ更新しようにも、足元を見られて高額な費用を提示される可能性もあります。

システムのリプレースとあわせて、DXを活用した業務改善も図りたい場合は、十分な準備期間が必要です。よいシステムを活用して利益につなげるためにも、早めにIT企業などの専門家へ相談されることがおすすめです。

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