いまビジネスの現場では、さまざまなクラウド型サービスが急速に普及しています。名刺管理システムもその1つ。導入をお考えのユーザー様も、多いのではないでしょうか。一方でせっかく導入したのに効果を挙げず、無駄にしてしまうことは避けたいものです。
すでにSFAやCRMが導入されている場合、名刺管理に相当する機能があるか事前の確認が必要です。このため、すべての企業で名刺管理システムが必要とは限りません。本記事では名刺管理システムの特徴と選ぶポイントを解説します。
そもそも、名刺管理システムとは?
名刺管理システムは、以下の特徴を持つシステムです。
- パソコンはもちろん、スマートフォンなどでも使えて簡単
- 名刺をスキャンするだけで、ほぼ確実に情報を読み取れる。スマートフォンならば撮影するだけでデータ化が完了
- オンライン名刺交換(ネット上で名刺の記載内容を情報交換できる)も可能
- 外国語への対応も可能
- Dynamics365やPower BIなど、他のシステムと連携可能。連携可能なシステムは製品ごとに異なる
営業活動をしやすくする機能が多く搭載されている点で、ビジネスに役立つシステムといえるでしょう。
名刺管理システムがビジネスに役立つ4つのメリット
名刺管理システムの活用により、ビジネスをスムーズかつスピーディーに進められます。ここでは4つのメリットを取り上げ、詳しく解説していきます。
メリット1 どこでも簡単に名刺の情報をデータ化でき、転記ミスも発生しない
名刺管理システムを活用する最大のメリットは、名刺に書かれた情報を簡単・正確にデータ化できる点です。スキャナーなどの機器を使う方法もありますが、クラウド型サービスの多くはスマートフォンによる読み取りに対応しています。カメラで読み取るだけで、どこでも簡単にデータ化が可能。使いやすい上にご自身でパソコンに打ち込むよりも正確ならば、便利と感じる方も多いでしょう。
このようにどこでも簡単・便利に使えて、転記ミスもなくせる点は大きなメリットの1つです。
メリット2 名刺の情報にアクセスしやすく、保管スペースも節約できる
紙で名刺を保管する場合、「枚数が増えると、スピーディーに探しにくい」「保管場所が必要」という点が悩みどころといえます。
お勤めのオフィスで「あの担当者の連絡先を知りたいのだけど、どこへしまったかなあ」などと名刺を探すシーンを見た方も、おられるのではないでしょうか。
名刺の情報を名刺管理システムに登録しておけば、いつでも必要な情報にすぐアクセスできます。もう名刺を探す時間は必要ありません。また名刺管理システムへ登録した後は、必ずしも名刺そのものは必要ありません。デスクの引き出しに常備しなくてもよくなるため、空いたスペースを有効に使えることも重要なメリットの1つです。
メリット3 簡単な操作で名刺の情報を交換できる
名刺管理システムの機能は、取引先の情報を蓄積するだけに留まりません。多くの名刺管理システムでは、簡単な操作で相手方と名刺の情報を交換できる「オンライン名刺交換」機能を備えています。
たとえば相手方にURLを提示し、リンクをクリックしてもらうことで情報を渡せます。QRコードを提示し、対応機器で読み取ってもらう方法も利用可能。手間がかからないことは大きな魅力です。お互いの情報をスムーズに交換できることで、ビジネスを円滑に進める効果が期待できます。
メリット4 外国語対応も簡単
職場によっては、外国人と名刺交換する場合もあります。見慣れない文字を手入力する作業は、思いのほか手間がかかるもの。
名刺管理システムのなかには、複数の外国語に対応するものもあります。なかには英語や中国語、フランス語やスペイン語だけでなく、北欧諸国や東南アジアの言語にも対応し、スムーズにデータ化できる製品があることは見逃せないポイントです。
名刺管理システムを導入・活用する際の3つの課題
名刺管理システムの導入には、課題もあります。ここからは名刺管理システムを活用する為に発生する課題を取り上げ、詳しく解説していきます。
課題1 購入費用やランニングコストがかかる
名刺管理システムを導入した場合、以下のとおり多少なりとも費用がかかることは、押さえておくべきポイントです。
- パッケージ製品:1ライセンス当たり数千円~数万円の購入費用
- クラウド型のサービス:1ユーザー当たり月額数百円~数千円のランニングコスト
例えば月額3,000円(消費税別)のサービスを10名で利用すると、年間で396,000円(消費税込)の出費となります。安価に見えても使い方によっては、費用が多額となることに留意が必要です。
課題2 ビジネスルールや覚えなければならないシステムが増える
新しいシステムを導入した場合、従業員は使い方をマスターしなければなりません。日々忙しい業務のなかで、「システムの使い方を覚える」タスクはどうしても負担に感じてしまいがちです。
加えてシステムが導入されるとビジネスルールも改定される場合も多く、従業員は新しいルールの順守も求められます。それでも、最終的に効率アップが実現できればよいでしょう。しかしシステムが現場で使われない、導入が進んでも業務がずっと非効率なままといった事態が続くならば、システム導入の意義を問われかねません。
課題3 SFAなど既存システムと機能が重複し、二重投資になるおそれもある
名刺管理システムのなかには、SFA(営業管理システム)の機能を搭載するサービスも少なくありません。なかにはSFAとセットで導入する事が前提となっているサービスもあります。
一方で、すでにSFAを導入済みの企業にとっては不要な機能。そのためSFAの機能が豊富な名刺管理システムを導入すると二重投資になり、無駄な費用を使ってしまうおそれがあります。
名刺管理システムは必要か?選ぶ際に押さえておきたい4つのポイント
名刺管理システムはメリット・デメリットがあります。また、すべての企業に必須のシステムでもありません。ここからは貴社に名刺管理システムが必要かどうか、選ぶ際のポイントを解説していきます。
ポイント1 システム導入の必要性を十分に検討する
名刺管理システムの導入を考える際には、本当にその機能が必要かどうか十分検討しましょう。例えば担当顧客数が少ない場合は、受け取る名刺の数も少ないもの。このような場合は、SFAに手入力したほうが速い場合も少なくありません。
一旦導入したら、多少なりとも費用が増加するもの。「営業なら名刺管理システムは必要」と決めつけず、費用対効果を分析することが重要です。
ポイント2 導入済みシステムの機能を事前に確認する
「自社に名刺管理システム」と考えた場合でも、システムを導入することは早計です。まず、既存システムに類似の機能があるか確認しましょう。特にSFAやCRMとは機能が重複しやすいため、入念なチェックが必要です。
既存システムで対応できれば、コストアップなしで使える機能を増やせます。面倒がらず、まずは運用中のシステムで行える機能を確認しておきましょう。
ポイント3 使い勝手の良さは必須
名刺管理システムは、営業の現場で使われるシステムです。日々忙しい営業活動の中、手間を省くシステムの1つ。ITに詳しくない方でもスムーズに使える製品でなければなりません。
新規導入する際には、使い勝手の良さが必須です。スマートフォンで撮影するだけで、自動的にデータ化されるサービスが望ましいといえるでしょう。トライアルが可能なサービスもありますから、事前に使い勝手を確認してもらうことがスムーズな導入を実現するポイントです。
ポイント4 社内システムと簡単に連携できるサービスの選定をお勧め
名刺管理システムは他のシステムとデータ連携することで、有効活用につなげることが可能です。導入するならば、社内システムと簡単に連携できるサービスを選ぶと手間が省けます。
また名刺管理システムのなかには、Dynamics 365と連携できるサービスもあります。Dynamics 365との連携は、Power Automateのコネクタを利用する事で簡単に実現可能という点も見逃せないポイントに挙げられます。
貴社の事情にあわせて、名刺管理システムの導入を判断しよう
名刺管理システムは、必ずしも導入すべきとは言い切れません。システム自体の必要性や既存システムの機能などを考慮した上で、貴社の事情に合わせて決めましょう。もし導入する場合は、使い勝手の良さと社内システムとの連携が重要です。Dynamics 365やPower BIを既にご利用していただいている場合は、Power Automateを利用した連携・活用を併せてご検討いただくとよいでしょう。
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