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AI利用はリスクか?リスクをマネジメントし、新たなビジネス/未知の領域に挑戦

近年、AI技術の進化が著しく、企業や組織がAIを活用する機会が増加しています。AIの導入は大きな効果と価値をもたらす一方、「透明性、セキュリティ」などの懸念やリスクは存在します。企業はAIのポテンシャルを最大限に引き出しつつ、リスクに対しては適切な対処を行うというAIリスクマネジメントが必要となっています。

本ブログでは、「AI利用にはどのようなリスクがあるのか」を整理し、AIシステム利用におけるリスクマネジメントのポイントを述べていきます。

AIを使用する際のリスクは何か?

ここ最近ではカスタマーサービスや金融取引、自動運転、医療診断等においてAI技術の利用が拡大しています。特に、自然言語処理や画像認識の技術進化のスピードは速く、多くの企業が「業務プロセスの効率化、意思決定のサポート、製品やサービスの向上」にAIを活用していますが、その際には様々な課題やリスクも存在します。「AI利用にどのようなリスクがあるか」について、以下に記載します。

1. 意思決定の透明性の不足

機械学習や深層学習のAIアルゴリズムは、その複雑性やブラックボックス化した性質から、意思決定の根拠や理由が不透明となることがあります。この透明性の不足は、組織が正確にリスクを評価するのを妨げ、信頼性や法令遵守において深刻な問題となり得ます。

2. データの品質と偏り

AIの学習に使用されるデータが不適切な場合や偏りがあると、不正確な意思決定や特定のグループに対する不公平な結果となる可能性があります。このことが、偏見や不公平を増幅し、社会全体に悪影響を及ぼす可能性が考えられます。

3. 結果の信頼性(フェイク情報)

ディープフェイク等、AIが生成する情報や結果は、誤った情報や偽情報である可能性があります。このような誤った情報が世の中に広がることで社会的に混乱が生じる恐れがあります。

4. 人の意志や管理の侵害、プライバシー侵害

AIに意思決定や判断を委ねる事は、人の自由意志や尊厳、自律性を侵害し、社会的・倫理的な問題を引き起こす可能性があります。更にAIが個人情報に介入する場合、プライバシーの侵害や個人の尊厳への侵害につながる可能性があります。適切な法令と規範を遵守し、個人の主体性を尊重する必要があります。

5. 著作権の侵害

学習、チューニングでのデータ利用及び類似のコンテンツの生成は、知的財産権(著作権、商標、意匠、特許等)を侵害する可能性があります。

6. セキュリティのリスク

データの漏洩や改ざん、不正アクセスなどのセキュリティリスクが生じる可能性があります。特に、個人情報や機密情報の取り扱いには、慎重さが求められます。

リスクマネジメントのプロセス

上記で挙げたようなリスクに対処する為に、以下を目的としたリスクマネジメントを実施する事が必要となります。

  • 透明性の向上、説明可能性の確保
  • データ品質の確保(平等、多様性、公平性を確保)
  • 倫理的なガイドラインの策定、準拠(意思決定、処理結果に対する人的介入を可能とする事等)
  • セキュリティの確保
  • 「第三者の著作権、商標、意匠、特許を含む知的財産権」、「個人情報を保護する為に適用される法令及び匿名性、機密性」に関する各種ルールへの準拠

では、リスクマネジメントはどのように進めればよいのでしょうか。

リスクマネジメントは、組織が目標達成に向けて取り組む活動に伴うリスクを特定し、評価し、コントロールし、モニタリングするための体系的なアプローチです。以下に、一般的なリスクマネジメントのプロセスのステップを記載します。

リスクを特定

活動やプロジェクトに関連する潜在的なリスクを特定します。内部および外部の環境要因、プロセス、技術、人的要因などを考慮します。ワークショップや専門家の協力を得て、リスクの特定の活動を行います。

リスクの評価

特定されたリスクについて、影響の程度と発生の可能性を評価します。リスクの影響と発生可能性の評価を組み合わせて、リスクの優先順位を付けます。数値的な手法(リスクマトリックス、モンテカルロシミュレーションなど)や定性的な手法を使用して評価を行います。

リスクのコントロール

特定されたリスクに対する対策や予防策を検討し、実施します。リスクの軽減、回避、受容、転送などの対策を検討します。対策の実施後にも定期的な評価を行い、必要に応じて調整します。

リスクのモニタリング

リスクの発生状況や対策の有効性をモニタリングし、状況の変化に対応します。定期的な報告や対話を通じて、組織全体でリスクに対する理解を促進します。組織の状況や外部環境の変化によって新たなリスクが発生する可能性もあるため、常に最新の情報を考慮します。

コミュニケーションと文書化

リスクマネジメントのプロセスや結果を関係者と共有し、透明性を確保します。リスクの特定、評価、対策、モニタリングの各フェーズでの情報を文書化し、アーカイブします。

定着

リスクマネジメントを組織の文化として定着させ、リスク意識を向上させます。メンバには、リスク管理の重要性を理解してもらい、積極的な参加を促進します。リスクマネジメントは継続的に行っていく活動であり、変化する環境に柔軟に対応することが求められます。

まとめ

リスクマネジメントは企業にとって欠かせない要素であり、急速に変化する環境において安定性と成長を実現するための重要な手段です。本ブログでは、「AI利用における」という文脈で述べましたが、未知の領域や活動を行う際には、リスクを特定し、評価し、適切に対応することが重要となります。
リスクへの理解と対処は、継続的な学習が必要であり(特にAI技術は日進月歩で進化していく為、日々の学習と修正が必要)、リスクマネジメントを単なるプロセスではなく、組織に定着させ未知の領域への挑戦に、自信を持って取り組む事ができるでしょう。

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