企業にとって業務システムの導入やランニングコストは費用ですから、可能な限り価格を抑えたいものです。もちろん御社が求める機能が含まれていることは前提ですが、その範囲内でできるだけ安いシステムを選びたいという要求は必ず出ることでしょう。
このように低価格を追求することも重要ですが、一方で個々のシステムに対して安さを求めるよりも、業務システム全体のベンダーや運営会社(以下、運営会社と略)をそろえることも重要です。このことにより操作性の統一やデータ連携の手間が削減されるなど、業務効率化につながるメリットは見逃せません。
今回は業務システムの導入において、運営会社を集約することのメリットを解説していきます。成長中の企業の方や、今後業務システムの更新を予定されている方は、ぜひ参考にしてください。
価格と機能だけを見て業務システムを選ぶことには、落とし穴がある
価格と機能だけを見て業務システムを選ぶことは魅力的ですが、一方でシステムの運営会社はばらばらとなりがちです。このことはときに経費を節約するつもりが、かえってコストが増大するなどのデメリットをこうむる場合もあります。ここでは業務システムを選ぶ上で見逃されがちな落とし穴を5つ取り上げ、それぞれについて解説していきます。
システムごとに使い勝手が異なり、その都度覚えなければならない
同じ目的でつくられたシステムでも、サービスの運営会社によって使い勝手は異なります。たとえば年賀状ソフトの使い勝手は、各社で異なります。一方で同じOffice製品であれば、使い勝手はある程度統一されています。これらはUI(ユーザーインターフェース)と呼ばれ、利用者がシステムを操作する上で最も重要と感じる項目の1つです。
システムごとに運営会社が異なる場合、従業員は機能の使い方に加えて、各システムで異なる操作方法も覚えなければなりません。これは単に面倒なだけにとどまりません。機能によっては似たような名前でも、運営会社によって全く異なる挙動を示す場合もあります。そのため運営会社の数が多くなると、勘違いによる操作ミスがどうしても誘発されやすくなります。これは業務におけるリスクの1つにあげられますから、見逃せないポイントです。
システム間のデータのやり取りに手間を要する
業務システムの運営会社がばらばらの場合、システム間でデータを連携するツールが提供されているケースは多くありません。この場合はシステムごとに二重入力が必要な場合や、csvなど一旦テキスト形式でデータを吐き出した後に他のシステムにインポートするといった作業が必要となる場合も多いです。従って、どうしてもシステム間のデータをやり取りする際には手間が生じてしまいます。
もしこの機能を自動化したいと考えた場合は、アドオン開発が必要になるかもしれません。この場合は、追加の開発費用や保守費用が加算されてしまいます。
システム間のサポートレベルがばらばらで、問い合わせ先も異なる
業務システムのサポートレベルは、運営会社により異なります。サポートレベルの一例には、以下のものがあげられます。
- 契約内容により、24時間365日の対応も可能
- 平日の営業時間内のみ電話サポートを実施。必要に応じて技術者を派遣
- 電話サポートは行わず、問い合わせフォームにて対応
もちろん、運営会社により問い合わせ先も異なります。サポートレベルは、統一されているに越したことはありません。そのため利用するシステムごとにサポート内容が異なることには、不便を感じる方も多いことでしょう。
トラブルが発生した場合は、自ら切り分け作業を行わなければならない
システムごとに運営会社が異なる場合は、トラブルが発生した際の負担も増すことに留意しなければなりません。いざトラブルが発生した場合は、自ら切り分け作業を行い、どのシステムに問題があるか特定する必要があります。なぜそうなるかというと、運営会社は自社のシステムしか責任を負わないことが原則であるためです。
また問い合わせを行った場合でも、運営会社が他社との連携機能を重視していない場合など、「仕様です」の一言で片づけられる場合もあります。この場合は実際に問題が発生しているにも関わらず運営会社からの対応がされないため、システムを利用する側は途方に暮れることにもなりかねません。
契約の更新時期がばらばらで、契約書もベンダーごとに管理しなければならない
業務システムごとに運営会社が異なることは、契約を管理する側にとっても面倒な結果を招きます。そもそも運営会社が異なる場合は、契約先の数に応じた契約書の管理が必要です。加えて各業務システムの導入時期は一致しないことが通常ですから、契約の有効期間も更新時期もばらばらとなります。従って管理が面倒となり、契約に関わる手間も時間も増えることにつながります。
業務システムの運営会社を統一すると、以下のメリットがある
ここまで、業務システムの運営会社がばらばらの場合に起きがちな問題を取り上げました。一方で運営会社を1つに統一すると、さまざまなメリットが得られます。ここでは代表的なメリットを3つ取り上げ、解説していきます。
操作性が統一される
業務システムの運営会社を統一することで、操作性が統一されます。たとえばふだん経理システムを操作している方が給与システムを操作する場合でも、運営会社が同じならば給与システム特有の機能やビジネスルールを覚えるだけで、比較的スムーズに使えるようになります。
加えて操作性が統一されることは、操作ミスの低減に貢献する点も見逃せないメリットにあげられます。
機能をまたがるデータのやり取りもスムーズ
複数の業務システムを提供する運営会社では、機能をまたがるデータの連携機能を用意している場合もあります。この場合はシステムごとに二重入力する手間がかかりません。またわざわざcsvなどのテキストファイルにダウンロードする必要もないため、操作や処理のスピードアップが期待できます。
このことにより操作ミスを防げるだけでなく、労働時間の削減など業務効率化による効果も期待できます。
契約もサポートも1社に任せられるため、責任の押しつけ合いが生じにくい
業務システムの運営会社を1社に統一した場合、契約もサポート窓口も1社に集約されることになります。このことにより契約上の手間が省けるため、事務処理のコストが下がるメリットはあります。
しかし運営会社を集約する最も大きなメリットは、トラブルに対して責任をもった対応が受けやすくなることにあります。もしシステムごとに運営会社が分かれていた場合、サポート窓口に連絡しても「他社製品のせいでは」などと回答される可能性があります。一方で運営会社を集約していた場合は、システム間の連携によるトラブルも自社製品によるものとなりますから、きちんとした対応がされやすくなります。
もちろんトラブルが発生しても「仕様です」と回答される場合や、すぐに対応されない場合もあることは否定できません。しかしその場合でも、代替案の提示が受けられる可能性が高くなることはメリットにあげられます。
業務システムを導入するなら、Dynamics 365 Business Centralをおすすめ
ここまで解説した通り、業務システムを導入するなら運営会社を統一することが重要です。このことにより思わぬコストの発生を防ぐことができ、真の業務効率化が実現できます。
そのなかでも、Microsoftが提供する「Dynamics 365 Business Central」の活用がおすすめです。ここでは導入により得られる主なメリットを2つ取り上げ、解説していきます。
さまざまな業務システムに対応しており、料金も月額制
Dynamics 365 Business Centralは以下の通り、さまざまな業務システムに対応していることが特徴です。このため企業で使われるさまざまなシステムを、Dynamics 365 Business Centralで統合することが可能です。
- 会計
- 固定資産管理
- 従業員管理
- 販売管理・CRM
- 生産管理
- 在庫・倉庫管理
- 購買管理
また料金は月額制ですから、必要な期間だけ契約できるため無駄がありません。
どうしても外付けシステムが必要な場合でも、自社でアプリを作成できる
Dynamics 365 Business Centralは豊富な機能が提供されていますが、どうしても求める機能がなく、外付けのシステムが必要となる場合もあるかもしれません。その場合でもPowerAppsを活用することで、アドオンを外注することなく御社自ら必要なアプリを作成することができます。
このことにより外付けアプリにトラブルが発生した、機能拡張が必要となったという場合でも、速やかに御社で解決することができます。仕様も御社で把握されているため、運用しやすいようにアプリを作成できることも魅力です。
またPowerAppsもDynamics 365 Business Centralも、Microsoft社の製品です。そのため他社製品を混在させるより操作性が統一されやすくなることも、メリットの1つにあげられます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?業務システムの検討ではとかく機能や価格が重視されがちですが、運営会社を集約することで人的コストを削減でき、スムーズにシステムを運用できるという大きなメリットがあります。従業員の満足度が高まり業務効率化につながる点も、見逃せないメリットです。
MicrosoftはDynamics 365 Business Centralを提供しており、さまざまな機能を取り揃えております。御社も真の業務効率化を実現するためにも、この機会に導入を検討されてみてはいかがでしょうか。
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