これまで業務アプリケーションを導入するには、システム部門やITベンダーへ開発を依頼するか、パッケージソフトを導入する方法の2つが主体でした。しかし2016年にPowerAppsがリリースされ、利用部門が業務アプリを自ら作成するという選択肢が加わっています。
PowerAppsを用いて業務アプリケーションを作成することには、さまざまなメリットがあります。なかでも、現場から業務の効率化を推進できることは大きなメリットです。このため、業務の効率化を求める企業におすすめです。
ここではPowerAppsの特徴とメリットがどのようなものか、詳しく解説していきます。
PowerAppsとはなにか?
PowerAppsの活用やメリットを知るためには、まずPowerAppsについて知ることが重要です。PowerAppsは、他の開発ツールと異なる特徴を持っていますから、どのようなものか解説していきます。
・Microsoftが提供する開発ツールで、画面の操作で業務アプリを作成可能
PowerAppsは、Microsoftが提供する開発ツールです。一般的な開発ツールと異なる点は、ターゲットとする層と利用方法にあります。
PowerAppsはプログラムに詳しくない利用者でも、簡単に業務アプリが作成できるように作られています。多くの業務アプリは、画面上にあるアイテムをドラッグ&ドロップし、Excelのように関数を入力するだけで作成できます。このため、ITの難しい知識はいりません。必要な知識は、Officeと業務に関する内容だけですみます。
従ってシステム部門やITベンダーに依頼することなく、必要な業務アプリをすばやく作成できる点がメリットです。自らの部署で必要な「道具」を、自ら作成できる点がメリットといえるでしょう。これにより、現場である利用部門から業務の効率化を推進できます。
・汎用ツールであり、業種に関わらず利用できる
PowerAppsは、汎用的な業務アプリケーションの開発ツールです。このため、どの業種でも利用できることがメリットです。加えてどのような業務でも、PowerAppsで業務効率化を行うアプリを作成できる点がメリットにあげられます。
・PowerAppsのライセンスについて
PowerAppsは、以下の方法で利用できます。
- 有料版を利用する人数分のライセンスを購入する
- PowerAppsのライセンスが含まれた、Office 365 製品を利用する
- PowerAppsのライセンスが含まれた、Dynamics 365 製品を利用する
2019年6月現在、有料版は1ユーザー当たり月額760円の「プラン1」と、月額4,350円の「プラン2」があります。両者は、Common Data Service の容量などが異なります。またOffice 365やDynamics 365を契約している場合は、別途ライセンスを購入しなくても使える場合がありますから、事前にライセンスの内容を確認してください。
なお機能を事前に確認したい場合は、「プラン2」を30日間、無料で試用することが可能です。
PowerAppsは、事業運営にさまざまなメリットがある
PowerAppsは業務アプリを短期間・低コストで作成できるなど、事業運営にさまざまなメリットがあります。ここでは4つのメリットを取り上げ、解説します。
・短期間、かつ低コストで作成できる
御社の業務にフィットしたシステムを探す場合、パッケージ商品では要件を満たせないケースも少なくありません。一方、システム部門やITベンダーに対して業務アプリの開発を依頼する場合は、数ヶ月以上の期間と高額の開発費用が必要です。このため企業内で稟議が通らない場合もあり、不便でも我慢して使い続けることを迫られるケースもあります。
一方でPowerAppsは、利用部門自らが必要な業務アプリを作成できるという特徴があります。このため他部門や他社に外注しなくても、短期間で業務アプリを作成可能です。業務アプリによっては、数分で作成できる場合もあります。また利用部門の従業員が作成するため、コストも人件費とPowerAppsのライセンス料程度で済む点もメリットとなります。
・セキュリティの面でもメリットがある
利用部門が自ら業務アプリを作成することには、セキュリティ面でのメリットもあります。特にITベンダーへ開発を依頼する場合、テストなどの目的で自社データを提供するケースも少なくありません。この場合、ITベンダーを経由したデータ流出の可能性はゼロといえません。
一方でPowerAppsを利用する場合は、業務アプリの作成業務を利用部門で完結できます。データを外部に提供する必要がないため、より安全に業務アプリをつくることができます。
・利用部門で業務アプリを作成できるため、仕様の行き違いが少なくなる
PowerAppsは、システム開発における「こちらの要望と違うシステムが納品された」という事態を防げることも特徴です。
そもそも業務の内容やビジネスルールを最も理解している部署は、システムの利用部門です。従って業務を理解している人が自ら業務アプリをつくることは、業務にフィットするという観点で最適といえます。また仕様の行き違いも、当然少なくなるでしょう。
・画面サイズも選べる
業務内容によっては、スマートフォンで業務アプリにアクセスするケースもあります。このためPowerAppsでは、以下の2種類の画面サイズを用意しています。
- タブレットサイズ
- スマートフォンサイズ
このように想定される業務アプリの使い方にあわせて、画面サイズを選べることも特徴です。
PowerAppsは、ITの専門家でなくても使いやすい
PowerAppsは、ITを利用する部門での活用を想定しています。このため、ITの専門家でなくても使いやすい点が大きなメリットとなっています。
ここでは3つのメリットを取り上げ、それぞれについて解説していきます。
・プログラミングのスキルがない方でも、業務の効率化ができる
これまで利用部門が便利にITを活用したいと思った場合は、Excelのマクロなどを除き、プログラミングによるシステム開発やパッケージソフトの導入が必要でした。従ってプログラミングのスキルがない部門の場合、独力で業務を効率化する手段は限られていたわけです。
しかしPowerAppsを活用することにより、業務内容と処理手順を把握しているかたなら、ITエンジニアに頼らずとも業務アプリを作成することが可能となりました。これによりプログラミングのスキルがなくても、システムを活用した効率化に携わることができます。
・オンラインの学習教材がある
PowerAppsでは、Microsoftによるオンラインの学習教材が複数用意されています。いずれも1テーマの学習時間は、2時間程度と長めです。そのため終業後や休みの日を使って、じっくり学びたい方におすすめです。
また不明な点は、ヘルプなどを活用して調べることも可能です。
・サンプルアプリやWebサイトの情報を参考にして作成できる
PowerAppsでは、ひな形となる「サンプルアプリ」が用意されています。これらをもとに、業務アプリを作成することも可能です。もし御社の業務にフィットするサンプルアプリがあれば、参考にして作成できる点もメリットにあげられます。
またWebサイトには、さまざまな業務アプリの作成方法が掲載されています。これらの情報を活用して作成できることも、PowerAppsのメリットにあげられます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?PowerAppsの最大のメリットは、利用部門が必要な業務アプリを自ら作成できる点です。これにより、業務に必要な「道具」を低コストで、かつスピーディーに用意することができます。また、プログラミングのスキルが不要なことも大きなメリットです。
PowerAppsは汎用ツールであるため、業種や職種に関わらず使える点もメリットにあげられます。これにより一度使い方を覚えれば、どのような業務でも効率化が可能です。
従ってPowerAppsは、現場から業務の効率化を推進できる力強い手段となります。御社も業績向上に役立てるため、この機会にPowerAppsの導入をご検討ください。
最近のコメント