こんにちは、ROIT代表の柿崎です。
シンガポールに約10日間滞在し、現地法人を設立するための準備を進めてきました。日本を離れて改めて気づいたこと、現地で衝撃を受けたことを、できるだけリアルにお伝えできればと思います。シンガポール法人設立する際の参考にしていただければと思います。
1.なぜROITはグローバル展開を目指すのか?
ROITは日本でMicrosoft事業を展開し、ありがたいことに多くのお客様のご支援をさせていただきました。お客さま、社員、投資家さま、パートナー企業さま、その家族の皆さまに感謝しております。しかし、私たちが目指すビジョンは「グローバル規模でIT投資効果を最大化する」ことです。
日本国内だけでなく、海外の市場や他国の優れた仕組み、ネットワークを取り込みながら企業としてさらに成長していきたい。その思いが強くありました。また弊社は直近の重点目標を「日本の製造業DXをグローバル規模で加速させる」として、事業を組み立てております。日本の製造業のお客様はグローバルに展開しており、それをMicrosoftクラウドで強力にサポートできるDXパートナーになり、日本の製造業のお客様と共に日本の優れた技術を世界に届けるご支援させていただきたと考えております。
そのなかで、今回ご紹介するシンガポールはアジアのDX・ビジネスのハブとしても有名です。こうした背景から「まずはシンガポールに拠点を作り、世界に向けて一歩を踏み出そう」という決断をしました。
2.シンガポールに法人を設立したいと思った時に最初にやったこと
最初に取り掛かったのは、「現地の会社設立サポート企業や専門家に相談する」ことでした。シンガポールは外国企業にとって非常にビジネスがしやすい国ですが、やはり税制や会社法など日本とは異なるルールが存在します。自己流で調べるだけではリスクが高いと感じ、信頼できるコンサルタントや会計事務所へのヒアリングを実施しました。色々と調べた結果、シンガポールと日本のビジネス、会計に詳しいCPA CONCIERGE(https://cpacsg.com/)さまにお世話になることにしました。代表の萱場さまに何回かMTGを実施し、色々とアドバイスいただき大変勉強になりました。
専門家選定のポイント
- 日系企業向けサポート実績の豊富さ
- 現地ネットワークの広さ(銀行口座開設のサポート、ビザ関連アドバイスなど)
- フィーが明確かどうか
結果として、設立に関しては比較的スムーズに進められました。やはり「頼れるプロに聞く」のが最短ルートだと実感しています。萱場さまはじめCPACのスタッフの皆さまには、会社設立の件だけでなく、現地の生活にいたるまで色々とアドバイスいただき大変感謝しております。
3.10日のシンガポール滞在、起業準備で思ったこと、日本との違い
今回の滞在は10日ほどでしたが、その間に「起業準備+現地の生活下見+ネットワークづくり」を同時進行で進めました。短期間の中でも、日本との違いを肌で感じるシーンがいくつもありました。
食事がつらい
結論から言うと、食事が本当にしんどかったです。ホーカー(日本のフードコードみたいなもの)でのローカルフードは安くて美味しいものが多いのですが、日本食と比べるとやはり脂っこさや香辛料の強さが特徴的。連日食べ続けると胃が疲れることがありました。42年間日本食を食べ続けてきた結果、体がまったくグローバル対応していないことがわかりました。最初は食事のせいで体調がすぐれず、パフォーマンス半分ぐらいで仕事してました。
もちろん日本食レストランもあるのですが、値段が高く気軽には行けませんでした。やよい軒で家族4人でランチをしてをして1万円ぐらいかかりました。いやいや、これは無理だなと。
私たち家族が達した結論は「自炊」です。幸いキッチン付きのホテルに滞在していたこともあり、近くのドン・キホーテに日本の食材を調達しにいって、自炊しました。ちなみにシンガポールで食べた食事で一番おいしかったのは、自分で作ったカレーです。
物価が日本の1.5倍~2倍
シンガポールはよく「東南アジアの中では高い」と言われますが、肌感としては日本の1.5倍~2倍くらいの物価水準に感じました。特にスーパーや外食費は高い。
ただ、ホーカーで食事をするとコスパは良いですし、比較的安く抑えることもできます。住む場所や生活スタイルによって大きく出費は変わってきそうです。出費については、もう少し工夫する余地がありそうでした。
暑い
年中常夏で、湿度も高め。ただし建物の中はエアコンが効きすぎていて、外との温度差が激しいのも特徴的です。3月ですと、日本の梅雨の季節に似ている感覚でした。油断すると体調を崩しそうなので、体温調節が難しいと感じました。
教育にかける情熱
7月に家族でシンガポールへ移住する予定のため、現地の学校を見学してきました。今回の滞在で一番衝撃を受けたのが、教育への投資規模と本気度です。日本と比べて、お金のかけ方がまったく違うと感じました。
特に印象的だったのは、先生の役割分担の明確さです。日本では1人の先生が授業、進路指導、保護者対応など多くのロールを担っていますが、シンガポールでは役割ごとに専門のプロフェッショナルが配置されており、子どもと親の期待値をしっかりマネジメントしています。教育リソースがうまく最適化されている印象でした。
授業も進んでいて、黒板はなくて、PowerPointが基本。アニメーションを交えた視覚的にわかりやすい授業スタイルで、子どもたちも楽しそうに学んでいました。
また、シンガポールならではの多様な人種の子どもたちが学ぶ環境は、多文化への理解や柔軟な価値観を育むには理想的だと感じました。図書室にはラマダン特集が組まれており、宗教や文化へのリスペクトも自然と学べる環境が整っています。
コンドミニアム
シンガポールでは多くの人が「コンドミニアム」(共用プールやジム、ガードマン常駐などがある分譲・賃貸マンション)で暮らしています。セキュリティがしっかりしていて設備が充実している反面、家賃が高額。一方で政府公営のHDB(公団住宅)に住むローカルの人も多いなど、居住環境も多様です。
家探し一つとっても「プール必須」「ジム必須」など、日本ではあまり馴染みのない条件が普通に交渉されるのが面白かったです。また、日本のような信用審査みたいなことはなく、「3カ月分の家賃を最初に収めればOK」みたいなシンプルな考え方はいいなと思いました。
税制の考え方の違い
シンガポールは法人税率が日本より低いことでも知られていますが、実際にヒアリングを進める中で、「納めた税金がどのように活用され、社会に還元されているか」を意識している事業者が多い印象でした。スタートアップ支援や政府系ファンドなど、税制面での優遇もあります。収集した大切な税金を国としてどう最大化するかを真剣に考えられていると思います。例えば日本でいうマイナンバーはすべてスマホで完結しますし、タクシーや電車の移動費を安くすることで経済を活性化する意図を感じますし、車を価格を高く設定することで、渋滞もほとんどありませんでした。国としてどういうビジョンとプランで今後設計していくかという強い意図を感じていいなと思いました。
「税金はコスト」というよりも「ビジネスを成長させるためにどう活かすか?」という考え方。日本とは少し違う感覚だと感じました。
スタートアップのような国
国全体が「新しいことを取り入れて成長しよう」という雰囲気で満ちている気がしました。ITや金融サービス(フィンテック)、暗号資産関連の制度整備も早く、政府主導で新しいテクノロジーやビジネスを取り込みやすい土壌があります。
政策の判断スピードが速いところも含めて、国全体が大きなスタートアップのように動いていると感じました。
4.今後のビジネス展開
今後は、既存のお取引先さまに対してもシンガポール法人の活用をご提案していく予定です。具体的には、
- Microsoftクラウドを利用したシンガポールおよびAPAC拠点のDX化支援
- シンガポールでの税制メリットを活かしたグローバル展開のご支援
- DXにとどまらず、お客さまのアジア圏での販路開拓やマーケティング支援
など、私たちがシンガポールを拠点に築いたネットワークやノウハウをお客様にも還元していく考えです。もちろん日本からリモートで支援できる部分もありますが、現地でしかできないフォローも多いはずなので、その点もしっかりサポートできる体制を整えたいと思っています。
5.まとめ
シンガポールでの10日間の起業準備は、刺激に満ちたあっという間の時間でした。日本との違いを痛感する一方で、ビジネスの可能性や国の成長力を目の当たりにして「ここで新しいチャレンジをしてみたい」という気持ちがさらに強くなりました。逆に食事の面やシンガポールに日本製品があふれている点で、日本の凄さをあらためて感じるいい機会になりました。
ROITとしては、まずはシンガポール法人を足掛かりに、アジア地域での事業拡大とグローバル展開を加速させます。今後もリアルな体験や現地情報をこのブログで発信していきますので、ぜひ楽しみにしていてください!
これからも応援よろしくお願いいたします。
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