シリコンバレーシリーズ

「シリコンバレーに学ぼうシリーズ⑤シリコンバレーのカルチャーとイノベーションエコシステム

1. シリコンバレーの成り立ち

シリコンバレーと聞けば、誰もが「ITの聖地」「ベンチャーの巣窟」をイメージしますよね。Google、Apple、Meta(旧Facebook)、Netflix…とにかく有名企業がゴロゴロしていて、世界的なイノベーションが集まる場所。
でも、なぜこの地域が「シリコンバレー」と呼ばれるようになったのか知っていますか? ここはサンフランシスコ南部一帯を指し、元々は半導体(シリコン)産業が集中していたことから、その名がつきました。トランジスタやICの研究が盛んになった背景として、戦後の軍事研究投資、NASAの宇宙開発、そしてスタンフォード大学の積極的な産学連携が大きく影響しています。

第二次世界大戦のあと、アメリカ政府は国防のために最新技術の研究を推進し、潤沢な資金を大学や企業に投じました。スタンフォード大学は自前の広大な土地を企業に開放し、大学の研究を事業化する姿勢を後押し。若き技術者は「ここで起業すれば儲かるし、世界変えられるじゃん?」というノリで集まってきます。実はこれこそがシリコンバレーの源流。研究開発、起業、投資が渾然一体となって技術が爆発的に発展していったのです。

もう一つ重要なのが「失敗を恐れない文化」。アメリカには「やってみてダメでも次がある」とか「失敗は成功の母」みたいな考え方が根強く、挑戦が称賛されやすいんですね。大学も政府も「失敗込でいいからガンガンやれ!」と投資をする。そうなると若い起業家はどんどんチャレンジします。新しい技術を生み出すスピードも世界最速。こうしてシリコンバレーは「イケイケ精神」を具現化した土地になったわけです。

2. シリコンバレーがなぜ世界のイノベーションの中心地であり続けるか?

2-1. VC(ベンチャーキャピタル)のリスク許容度が異常に高い

シリコンバレーには、お金を出してくれる投資家が本当に多い。彼らは「10社投資して1社が当たればOK」というスタンスです。「このアイデア面白そうだし、可能性があるならやってみよう」とポンと資金を出す。その分、当たれば莫大なリターンが返ってくる。失敗しても他の成功でカバーすればいいから、まったく動じない。こういう投資家が集まる場所だからこそ、面白い技術やベンチャーが雨後のタケノコのように生えてくるんです。

2-2. 優秀な人材が世界中から流れ込む“磁場”

シリコンバレーにはGoogle、Apple、Metaといった誰もが知るテック企業がひしめいているので、優秀なエンジニアやデザイナーが世界中から殺到します。「次はどんな革新的サービスを生み出そうか?」という野心家が、一堂に集まる。おまけに転職やコラボが日常茶飯事なので、人材が企業間をぐるぐる移動し、ノウハウがシェアされていく。これを「シリコンバレーのネットワーク効果」と呼ぶ人もいますが、本当に凄まじい相乗効果なんですよね。

2-3. 失敗は当たり前、むしろ歓迎

「Fail Fast, Fail Often(さっさと失敗しろ、何度も失敗しろ)」はシリコンバレー文化を象徴する言葉。失敗が想定外なんじゃなくて、むしろ前提。やりたいことを試してみて、ダメだったら素早く仕切り直す。そしてその経験を踏まえて再挑戦する。日本のように「失敗したら左遷」「社内で白い目」なんて概念が薄いから、とにかくチャレンジが生まれやすいんです。

3. 日本にイノベーティブな時代はあったのか?

「日本は昔から保守的な国だったの?」と思う方もいるかもしれませんが、実はかつての日本は世界を席巻する時代がありました。戦後の高度経済成長期から80年代のバブル期にかけて、ソニーやホンダ、トヨタなどが“日本製”の品質の高さと技術力を武器に世界をリード。
たとえばウォークマンは世界の音楽リスニング体験を一変させたし、トヨタの品質管理は海外から「すごい!」と絶賛された。さらには半導体や家電製品も「日本製なら安心」と言われるほどのブランド力があったのです。海外から「Japan as No.1」なんて言われ、渋谷や銀座の土地を爆買いするくらいお金があって、「わが世の春」真っ盛りでした。

ただ問題は、そのまま勢いに任せて突っ走るうちに、次の時代の準備を怠ってしまったこと。90年代以降はITとインターネットの革新が大きな流れを作っていくわけですが、日本企業の多くは古いビジネスモデルから抜け出せず、イノベーションを起こすチャンスを見逃してしまいました。「まだウチは大丈夫」なんて呑気に構えている間に、シリコンバレーで革命的なサービスがバンバン生まれていたわけです。「イノベーションのジレンマ」が日本で起こっていたのです。

4. 日本の失われた30年

バブル崩壊以降の「失われた30年」は、みなさん嫌というほど耳にしてきたでしょう。株価は下落、銀行は不良債権処理、雇用も安定せず、デフレが長く続き…と散々でしたよね。誰もが「景気が悪いから仕方ないよね」とか「みんな大変なんだよ」と我慢し続けた結果、気づけば30年。それでも大きなイノベーションはなかなか起こらず、日本の国際競争力はどんどん低下。ROIT社長は42歳ですが、小学生からずっと経済的に暗い日本で過ごしてきました。
ここで注目したいのは、この間に海外ではGAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)といったモンスター企業が次々に登場していたということ。中国でもAlibabaやTencent、Huaweiが成長。アメリカと中国がテックの覇権を争う一方で、日本は「ガラパゴス」と呼ばれるようになり、スマホのOSすら海外製に頼る状況になってしまった。
「日本企業は技術があるから…」と自信を持っていたのに、結局それを世界的なプラットフォームに仕立て上げる力が足りなかったんです。大企業も「新しい事業をやりたい」って声はあったけど、社内稟議やら責任問題やら、人事評価やら、なんだかんだで身動きが取れない。べったり「前例踏襲」に固執したまま、新たな挑戦を後回しにしていたら、気づけば30年が過ぎていた――これが実態じゃないでしょうか。

5. 日本企業がシリコンバレーに学ぶこと

5-1. 本気でリスクを取れ!

「オープンイノベーションだ」「CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)を作った」と威勢良く言う大企業は増えましたが、実態はどうでしょう? 結局は「形だけ」「PR目的」で終わってしまうケースが少なくない。「投資額は小さい」「新規事業の失敗を極端に嫌がる」「出資先ベンチャーに口うるさく介入する」――これじゃあシリコンバレーとは程遠い。やり方もダサい。
シリコンバレーを見習うなら、本気でリスクを取る体制が必要です。例えば、「一定割合は失敗しても当たり前」「挑戦してダメだったら、次のチャレンジに即移れる」くらいの仕組み。株主対策ももちろん大事ですが、世界をリードする企業になりたいなら、失敗を恐れていたら話にならない。大企業サラリーマンVCにはベンチャーの本質が分かってない。リスクをとっても何もいいことがないから。

5-2. 人材の流動性を高めろ!

シリコンバレーでは、優秀なエンジニアや企画マンが企業を渡り歩くのが当たり前。日本の大企業はまだまだ「終身雇用」「年功序列」の枠組みを引きずりがちで、人材が外に出にくい構造になっています。結果、いったん就職したらひたすら社内で昇進を狙うしかなく、新しい刺激や外部のノウハウが入りづらい。
ベンチャー企業を買収して人材ごと取り込むM&Aも日本ではまだ盛んとは言えず、「優秀な人は海外へ流出」なんて言われる始末。シリコンバレーから学ぶには、ジョブ型雇用や副業解禁、社内外でのプロジェクト連携など、人の移動を増やす工夫が必要です。

5-3. 失敗に寛容な社風をつくれ!

日本の企業文化は失敗に厳しすぎる。学校教育も「ミスをしないほうが優秀」みたいな空気がありますよね。でもイノベーションを起こすには、実験的な試みをいくつも走らせる必要があるし、その中の9割は失敗するかもしれない。
「なんだ、やっぱりダメだったか」で終わらせず、「OK、この経験から何を学んだ? 次にどう活かす?」と建設的に考えられる組織に変わらないと、いつまで経っても新しいアイデアは実行に移せないままです。

6. 日本のベンチャー企業がやれること

「日本の大企業は動きが遅いから…」と嘆いていてもしょうがない。ベンチャーはベンチャーで活路を見いだすしかありません。やるべきことは明確です。

6-1. 最初からグローバルを狙う

日本市場は縮小気味だし、世界の競合と戦うなら早めに海外へ打って出たほうがいい。英語ができない?言い訳してる暇があったらとにかく行動しましょう。「Just Do It!」。何を言ってるかわからなくてもいいので、試しに海外のスタートアップイベントに出てしまえばいいんです。欧米に限らず、アジアやアフリカなど、新興国市場にもビッグチャンスはゴロゴロ。シリコンバレーのVCに目を向けるのも手。「こんなクレイジーなアイデアがあるんだ」と発信しに行けば、案外面白い話が転がっているかもしれません。

6-2. テック以外の領域でも勝負

シリコンバレーといえばITやAIのイメージが強いですが、実際はフードテック、バイオテック、クリーンテックなど、多種多様な分野が盛り上がっています。日本のベンチャーも、世界の課題解決に貢献できるようなビジネスモデルを打ち立てれば、大きく羽ばたける可能性はある。「日本のローカル課題を解決する」だけでは、投資家や世界のユーザーを納得させるにはややインパクト不足かもしれない。どうせやるなら「世界をひっくり返す」くらいのビジョンが欲しいところです。

6-3. 素早い意思決定とピボット

ベンチャーの最大の強みはスピードです。大企業のように稟議書が何段階も必要…なんて悠長なことをやっていたら、シリコンバレー勢にあっという間に追い抜かれる。新しいアイデアはすぐ試して、ダメならサッと撤退。やめる勇気と切り替えの早さが勝敗を分けます。
「一度決めたことは簡単に変えられない」という日本人気質も足かせになりがちですが、シリコンバレーの起業家は「ピボットは当たり前」と言わんばかりに、どんどん方向転換して成功パターンを探ります。柔軟さこそが武器になるんです。

7. まとめ

ここまでざっと見てきたように、シリコンバレーと日本は真逆と言っていいくらい環境も文化も違う。シリコンバレーは政府・大学・企業・投資家が一体となって「失敗上等!」とイノベーションを量産し、日本はバブル崩壊後に30年も停滞して「前例を踏襲」「失敗回避」「ガラパゴス化」が進んだ。
ただ、それで「日本はもうオワコン…」と嘆いていても始まりません。社会や企業文化が変わるのを待っていては一生ムダかもしれない。だからこそ、いま30~40代のビジネスパーソンが「もう古い体制に飼い殺しにされるのはゴメンだ!」と声を上げることが大切なのです。

「シリコンバレーは遠いし、アメリカと日本じゃ文化が違うから…」なんて言ってる暇はありません。日本がこのまま沈んでいくなら、むしろそこがチャンス。下がりきったところで“ぶっ壊してやる”くらいの反逆心を持つ人が増えれば、本当に新しい潮流が生まれるかもしれない。
いま30~40代の私たちが黙っていたら、次の世代は「日本って衰退しきってるよね」とあきらめムードで海外へ逃げるだけ。そんなの悔しくないですか? それよりも「こんな閉塞感だらけの国でも、俺らが動けば変えられるんだ!」と叫んでみるほうが、よほど燃えるじゃないですか。

シリコンバレーがどうとかよりも、「自分たちでイノベーションを起こすんだ」という意志こそが肝心。日本の古い常識や制度なんか、やろうと思えば変えられる。大企業にいながら変えられないなら起業する手もあるし、海外に出てしまうのもあり。少なくとも「現状維持が一番マシ」なんて思考停止は、もう時代遅れもいいところ。
反逆心を燃やすなら、今ですよ。人生まだまだ長いんだから、失敗しようが転ぼうが、そこから立ち上がればいいじゃないですか。シリコンバレーだって失敗者の集まりでイノベーション起こしてるんですから。「あんな風になれっこない」って卑下するんじゃなくて、「ぶっちぎりで面白いことやったろうぜ!」と行動するほうが断然かっこいい。

今度こそ、日本が本気で世界を驚かせる番じゃないですか。あなたがどこかで「こんなの無理だよ」とあきらめたら、その時点で日本の未来も固まってしまう。どうせなら「どうなるか分からないけど、やってみるか!」と飛び込んでみましょう。シリコンバレーが特別なのではなく、本当はどこの国でも不可能じゃないはず。
「だったら俺がやってやる!」――そんな反骨精神が、次のイノベーションの火種になるはずです。

ROITはそんな反逆心にあふれて、日本にイノベーションを起こす仲間をお待ちしています!
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