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クラウド型通信基盤Azure Communication Serviceについて

ビジネスのデジタル化が進む中、顧客や従業員とのコミュニケーション手段も大きな変革を遂げています。クラウドベースの通信基盤である「Azure Communication Service (ACS)」は、企業があらゆるコミュニケーション手段を一元的に管理できる強力なツールです。この記事では、Azure Communication Serviceの概要やそのメリット、具体的な活用方法について解説していきます。

1. Azure Communication Serviceとは?

Azure Communication Service (ACS)は、Microsoftが提供するクラウドベースの通信プラットフォームです。音声通話、ビデオ通話、チャット、SMSなどの通信手段を、Azureのインフラを利用して柔軟に統合・管理できます。もともとMicrosoft Teamsで使われている技術をベースにしており、企業はその強力な通信機能を自社のシステムやアプリケーションに組み込むことが可能です。

このサービスの大きな特徴は、カスタマイズ性の高さです。企業のニーズに応じて、顧客対応や社内の連絡手段としてさまざまなコミュニケーション機能を柔軟に構築できます。また、Azureの他のサービスとの統合も容易で、企業のクラウド戦略をさらに強化することができます。

2. Azure Communication Serviceを利用することのメリット

Azure Communication Serviceを導入することで、企業はさまざまなメリットを享受できます。主なメリットは以下の通りです。

1. クラウドベースでの柔軟性

オンプレミスの通信システムを持つ必要がなく、インフラの維持・管理コストを大幅に削減できます。Azure上で稼働するため、スケーラブルであり、トラフィックの増減に柔軟に対応可能です。

2. マルチチャネル対応

ACSは、音声通話やビデオ通話だけでなく、SMSやチャットなど、さまざまな通信チャネルを一元的に管理できます。これにより、顧客とのコミュニケーションの手段を増やすことができ、より多様なニーズに応えることが可能になります。

3. セキュリティとコンプライアンス

Microsoftが提供するクラウドサービスとして、セキュリティコンプライアンスが強固です。GDPRやISO27001など、国際的なセキュリティ基準に準拠しているため、安心して企業の通信基盤として利用できます。

4. Microsoft Teamsとの親和性

Microsoft Teamsと同じ技術基盤を使用しているため、Teamsとスムーズに連携でき、企業の従業員同士や顧客とのコミュニケーションを強化できます。特に、既にMicrosoft 365を導入している企業にとって、スムーズな統合が期待できます。

3. Azure Communication Serviceで利用できる通信手段について

Azure Communication Serviceでは、次のような通信手段が利用可能です。

1. 音声通話

企業はACSを利用して、顧客や従業員との音声通話機能を実装できます。音声通話の品質は、Microsoft Teamsで使用されている技術を基にしており、非常に高品質です。

2. ビデオ通話

リモートワークが一般化している現代において、ビデオ通話は重要なコミュニケーション手段です。Azure Communication Serviceを利用すれば、ビデオ通話機能を自社アプリケーションやWebシステムに簡単に組み込むことができます。

3. チャット

チャット機能は、顧客サポートや社内コミュニケーションに欠かせません。Azure Communication Serviceはリアルタイムのチャット機能もサポートしており、顧客対応や社内連絡に活用できます。

4. SMS

SMSを使った通知機能もACSで提供されており、認証やリマインダーの送信など、多様な用途に利用可能です。例えば、SMSを利用して、予約確認やセキュリティコードの送信を行うことができます。

4. Azure Communication Serviceで電話を利用する際の構成について

Azure Communication Serviceを利用して電話を構築する場合、いくつかの構成要素が必要です。

1. 電話番号の取得

Azure Communication Serviceでは、国際的な電話番号を取得して、音声通話機能を実装できます。電話番号はAzureポータルから簡単に取得でき、日本国内の番号も提供されています。

2. 通話のルーティング

ACSでは、電話番号を利用した通話のルーティングもサポートしています。ユーザーからの発信や着信を自社のシステム内で処理し、カスタム通話ルーティングを設定できます。

3. 通話ログと分析

通話のメタデータ(発信元、受信先、通話時間など)を取得し、後で分析することも可能です。これにより、顧客対応の質を高めるためのデータ分析が容易になります。

5. Azure Communication Serviceの日本での電話利用について

日本国内でのAzure Communication Serviceを使用した電話機能についても対応が進んでいます。日本国内の電話番号を使用した音声通話や、国際通話の発着信が可能で、これによりグローバルなビジネス展開にも対応できます。

ただし、日本国内での利用に関しては一部規制や技術的な要件があるため、事前に最新の情報を確認しておくことが重要です。Microsoftのドキュメントやサポートを活用し、適切な設定を行うことが求められます。

6. Dynamics365 Contact Centerとの連携について

Azure Communication Serviceは、Dynamics365 Contact Centerと非常に高い親和性を持っています。これにより、顧客対応の効率化と自動化が進むのです。以下のポイントが連携の主な利点です。

1. 顧客対応の自動化

ACSの音声通話やチャット機能を利用することで、顧客対応を自動化できます。顧客の問い合わせをAIが処理し、必要に応じてエージェントに引き継ぐといった流れが可能です。

2. 顧客データとの統合

Dynamics365の顧客データとACSでの通話やチャットの履歴を統合することで、顧客の履歴を追跡し、パーソナライズされたサービス提供が可能になります。これにより、顧客満足度の向上が期待できます。

3. 通話内容の分析

Dynamics365の強力なデータ分析ツールを活用して、ACSを通じて行われた通話やチャット内容を分析できます。これにより、顧客対応の質を高めるためのフィードバックが得られます。

7. まとめ

Azure Communication Serviceは、クラウドベースの通信基盤として、企業のコミュニケーション戦略を強化するための強力なツールです。音声通話やビデオ通話、チャット、SMSといったさまざまな通信手段を統合し、企業は効率的かつセキュアに顧客や従業員とやりとりを行うことができます。

また、Dynamics365 Contact Centerとの連携により、顧客対応の効率化とパーソナライズが可能になり、ビジネスプロセスのさらなる自動化が進みます。今後、Azure Communication Serviceは日本市場でもますます注目され、企業にとって欠かせない通信プラットフォームとなるでしょう。

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