投稿日:2024/4/23
投稿者:細谷
データアナリティクスは、現代のビジネス環境で不可欠なスキルとなっています。
しかし、データの量が増え、複雑性が高まるにつれて、初心者がこの領域に足を踏み入れることは容易ではありません。
そこで本ブログでは、データアナリティクスの基礎を学ぶために役立つDMBOK(Data Management Body of Knowledge)について、紹介させていただきます。
DMBOKとは何か?
DMBOK(Data Management Body of Knowledge)は、データマネジメントについて、包括的にまとめた参考書のようなもので、データ管理のプロセス、原則、ベストプラクティスを体系化したものです。
国際的なデータ専門家で組織された非営利団体DAMA Internationalによって策定され、多くの専門家が、DMBOKの編集に関わっています。
PMBOK(Project Management Body of Knowledge)というプロジェクトマネジメントの知識を体系的にまとめた資料のデータマネジメント版ですね。
データは現代の組織にとって非常に重要であり、その適切な管理は組織の成功に不可欠です。
DMBOKは、組織がデータを効果的に管理し、最大限に活用するためのガイドラインとなります。
データの収集、整理、解釈、活用に関するベストプラクティスがまとまとまっているので、データアナリティクスを学ぶ上での基礎知識となります。
以下、DMBOKで整理されている内容を記載します。
DMBOKの概要
- データ管理の概念
DMBOKでは、データ管理の定義、重要性、目的について述べられています。
データ管理は、「データの収集、保存、保護、分析、活用」するプロセス全体が含まれます。
- データ管理のプロセス
DMBOKでは、データ管理の主要なプロセスを定義しています。
これには、データの収集、整理、格納、分析、共有、保護、品質管理などが含まれます。
- データ管理の要素
DMBOKでは、データ管理の要素として、データアーキテクチャ、データ品質、データセキュリティ、データ統合、データ倫理等の要素を定義しています。
これらの要素は、組織がデータを管理するための基本的な構成要素となります。
- ベストプラクティス
DMBOKは、データ管理のベストプラクティスとなります。
これには、データ品質の向上、データセキュリティの確保、データ統合の促進などが含まれます。
これらのベストプラクティスは、組織がデータを効果的に管理し、価値を最大化するのに役立ちます。
ここでは、ベストプラクティスと記載していますが、日本語に言い換えると「あるべき姿、理想の姿」といった所でしょう。
- 成熟度モデル
DMBOKは、データ管理の成熟度モデルについても述べています。
組織は自己評価を行い、データ管理の成熟度を評価することができます。
これにより、組織は自身の強みや課題を把握し、必要な改善を行う方向性を見出すことができます。
データアナリティクスの基本概念と、学習を進める為のポイント
データアナリティクスを理解するためには、いくつかの基本概念を押さえる必要があります。
具体例を以下に記載します。
- データの種類:構造化データと非構造化データの違い
- データの収集:データを収集する方法やその重要性について
- データの解析手法:統計解析、機械学習、データマイニングなど、データを解析するためのさまざまな手法
いきなり上記のような具体的な内容の学習を進めたり、実務で試行錯誤したりする前に、DMBOKからデータアナリティクスを学ぶことが、初心者にとって非常に有益です。例えば以下のような形で、DMBOKで整理されている内容から、知恵兼を得る事が出来るでしょう。
データアーキテクチャの理解
DMBOKのデータアーキテクチャのセクションを読んで、データの構造化や統合について学ぶ
データ品質の向上
データ品質の管理に関するDMBOKのガイドラインに従って、データの品質の向上の方法を学ぶ
データセキュリティの確保
DMBOKのデータセキュリティのセクションを参照して、データを安全に保護する方法を学ぶ
DMBOKを少し深堀すると…
DMBOKでは、広範なデータマネジメントの概念をいくつかの領域に分解し、11個の知識領域が定義されています。
最初からこれら全てを細かく理解する事は難しいので、「データマネジメント」という活動の全体像を捉えながら、自身が抱えている課題、解決したい問題を持った上で、気になるポイントを読み進めていくのがいいと考えます。
- データ管理の概要
- データガバナンス
- データアーキテクチャ
- データモデリングと設計
- データ品質
- データ統合とインターリンク
- データ保護とプライバシー
- データストレージと復元
- データモニタリングと報告
- データユーザーサポート
- データエコシステム管理
さらなる詳細は、「データマネジメント知識体系ガイド 第二版」を読むか、DAMA日本支部※のセミナー等に参加する事で知る事ができますので、興味のある方は調べてみて下さい。
※DAMA Japan Chapter一般社団法人 データマネジメント協会 日本支部
https://www.dama-japan.org/DAMAJ_index.html
データアナリティクスの目的
最後に、「そもそもデータアナリティクスの目的とは何なのか」を考えてみましょう。
データアナリティクスの目的は、「データを活用して組織やビジネスの効率性、効果性、競争力を向上させる」ことであり、その為のデータを収集、解析し、解釈して意思決定や問題解決に繋げる行為です。
以下に目的の具体例を記載しますが、いずれもデータ分析をする事が目的ではなく、【なんの為にデータ分析を行うか】が大切です。
- 洞察の獲得
データアナリティクスは、データから意味深いパターンやトレンドを見つけ出し、ビジネスや組織の運営に関する洞察を得ることを目的とします。
これにより、戦略の策定や改善のための方針立案が可能となります。
- 予測と予測分析
過去のデータを分析して未来の出来事や動向を予測することで、将来のリスクや機会を理解し、適切な戦略を立てることができます。
- 効果的な意思決定の支援
データアナリティクスは、事実に基づいた意思決定を支援します。
データに基づいた判断は、直感や経験に依存するよりも客観的で正確な結果をもたらす可能性が高いです。
- パフォーマンスの最適化
データアナリティクスを使用して、プロセスやシステムのパフォーマンスをモニタリングし、改善の余地や問題点を特定し、業績を最適化します。
- 新たなビジネス機会の発見
データアナリティクスは、市場や顧客のニーズ、競合状況など、新たなビジネス機会を発見するための情報を提供します。
これにより、新しい製品やサービスの開発やマーケティング戦略の構築が可能になります。
まとめ
本ブログでは、データアナリティクスの目的を達成するためのツール・参考書としてDMBOKを紹介しました。
データアナリティクスへの初めての一歩を踏み出す際には、DMBOKのようなデータマネジメント全体を包括的に体系立てた資料を教科書のように活用することが不可欠です。
データアナリティクスの世界は広大であり、その複雑性や成果の見えない範囲においては、途中で諦めてしまいそうになる場面があるかも知れません。
しかし、継続的な学習と実践によって、データを活用して新たな洞察を得るスキルを磨き、好奇心と挑戦に立ち向かうことを忘れずに、データアナリティクスの世界を楽しんでください。
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