現在ではさまざまなベンダーがSFAのサービスを提供しています。一方で、SFAの機能はベンダーやサービスごとに異なることにも留意が必要です。このため選定においては金額だけでなく、御社が求める機能があるか、また営業成績の向上に寄与するかという観点でも十分な検討が必要です。
今回はSFAの導入を考えている企業に対し、選定する際のポイントを解説します。とりわけ中堅・中小企業でクラウドSFAの導入を検討している方は、ぜひ参考にして頂ければと思います。
営業活動におけるSFA選定の重要性
いまやSFAは、効果的な営業活動をする上で重要な役割を担いつつあります。ここではその重要性に加えて、SFAの導入がうまくいかないとどうなるかという点もあわせて考えていきます。
・SFAを選ぶ目的は、効果的な営業活動により業績アップに貢献すること
営業職は個々の努力はもちろん、それ以上に結果が求められる職種です。加えて企業における営業部門は、チームとしての成果を上げることも求められます。この点で個々の営業担当者の能力と努力に頼っていたのでは、競合他社に勝つことは難しくなります。
従ってチームとしての成果を上げるためには、SFAを用いて組織ならではの工夫をすることが欠かせません。SFAには以下のように、効果的な営業活動を支援する機能があります。
- 営業活動を簡単に、かつ必要な事項を漏らさず正確に記録する
- 案件ごとの進捗状況をとりまとめ、それぞれの成約可能性とリスク、次に行うべきアクションなどを表示する
- 1ヶ月や半年など、一定期間内の営業成績や成約率などを表示する
- 顧客のニーズを抽出する
上記に示す機能を駆使し、組織一丸となって売上と利益を求める姿勢が必要です。
・もしSFAの導入がうまくいかないとどうなる?
せっかく導入したSFAも、うまくいかないと以下の問題を引き起こしてしまいます。
- 導入前よりもオペレーションが煩雑になる場合は、営業担当者の勤務時間が増大し、人件費増加の原因となる
- 費用対効果が得られず、投下した費用を回収できない。また導入後数年間は、費用が増大する場合がある
SFAの導入直後は、システムに慣れるための時間が必要であるため、各自の労働時間は一時的に増加します。しかし導入前よりもオペレーションが煩雑になると、人件費が増加する原因になります。このような状況になると、たとえSFAの導入によって売上が伸びたとしても、その効果を減殺させてしまいますからあまりよくありません。
加えてSFAの導入がうまくいかない場合は、導入費用を補えるだけの利益も得られないため、御社の利益が減少、もしくは損失の拡大につながってしまいます。それでもクラウド型SFAならば支出額は月々の利用料という形となるため、利用を止めれば支出はなくなります。このため、他のシステムに乗り換える判断はしやすいものです。
一方でSFAを購入した場合の金額は、数十万円またはそれ以上となることが多いです。従って税法上は固定資産の扱いとなりますから、たとえSFAを使わない場合でも導入後3~5年間は費用の増大につながってしまいます。またリースで導入した場合は中途解約ができない場合もあるため、これもよくありません。
SFAを選ぶ際のポイント
SFAを選ぶ際には価格も重要ですが、それだけを基準に選ぶと失敗しがちです。それでは、どのようなポイントを重視して選べばよいのでしょうか。ここでは5つのポイントを取り上げ、選ぶポイントとなぜ重要なのかという理由を解説します。
・営業担当者が使いやすいこと
SFAを最も使う方は、営業担当者です。従って営業担当者が使いやすいことは、SFAを選定するための最も重要な要件です。使いやすいSFAを選ぶことで、以下にあげる3つのメリットが得られます。
- SFAの導入がスムーズに進むことで、売上の拡大と利益の向上が期待できる
- 残業の減少など人件費の減少につながるため、利益の押し上げが期待できる
- システム化の推進により、事務担当者の削減が可能となる
このためSFAを選定する際には機能だけでなく、画面のレイアウトや入力方法も十二分にチェックすることが求められます。よく使う機能については、細かい部分まで使い勝手をチェックしておきましょう。
またSFAの選定においては、極力同じ内容を複数の画面で入力する「二重入力」を避けることも重要です。営業担当者はパソコンを道具として使うわけですから、御社の実情に応じてできるだけ入力の負担が軽いSFAを選ぶことをおすすめします。
・客先など、外出先でも使えることを重視するか否か-クラウドかオンプレミスかー
営業は商談を成功させ、受注に結びつけることが仕事です。そのため、外出先でパソコンやスマートフォンを操作する機会も多いものです。従って外出先でSFAを利用できるとわざわざ事務作業のために帰社する必要がなくなるため、生産性の向上につながります。
この点で、クラウド型のSFAは優れています。クラウド型のSFAなら、社内・社外問わずログイン方法が共通であることがその理由です。一方でサーバーを社内に置く「オンプレミス」のSFAの場合は、社外からのログイン方法も周知しておかなければなりません。とりわけ情報システム担当者は外部からのログインに対応した設定を行う必要があるため、導入時の手間や費用がかかる原因となります。
一方でオンプレミスの場合は、サーバーが社内にあります。従って外部との通信が断たれても、とりあえず社内では利用できる点がメリットにあげられます。
・営業成績向上に寄与する機能は揃っているか?
SFAは個々の営業担当者だけでなく、組織においても便利な機能が備わっています。部門ごと、また営業担当者ごとの売上額や売上予測を表示する機能は、その代表的なものでしょう。また成約可能性の分析とリスクを洗い出す機能は、成約率をアップする上で欠かせません。競合が多い、リスクがあるといった案件については、重点的に対策を施すことで受注に結びつけることが可能です。
このように、SFAはチームでの営業成績を向上させるために役立つ機能も備えています。従って、SFAを単に営業日報を置き換えただけ、あるいは営業担当者を管理するだけのツールと考えることは、大変もったいないことです。
・ベンダーのサポート体制や経営状況も要チェック
SFAを選ぶ際には、提供するベンダーのサポート体制も重要です。トラブルや不明な点が発生した際にどこまで対応してくれるかという点については、事前に確認しておきましょう。機器やソフトを社内に置く「オンプレミス」の場合は、できるだけ早い時間で現地に駆け付けてもらえるベンダーですと安心です。
またクラウドSFAの場合、窓口が海外にしかない場合は、トラブルが起きた際にコミュニケーションの面などで思わぬ手間を要するおそれがあります。深夜は海外で対応というベンダーなら問題ありませんが、少なくとも平日の日中時間帯は国内で問い合わせを受け付けるベンダーを選びましょう。
加えて提供するベンダーが倒産した場合、以後のサポートは受けられなくなるおそれがあることにも注意が必要です。この点では、ベンダーの経営状況をチェックすることも重要です。
・他のソフトやサービスとの連携も重要
二重入力を避けるという観点では、他のソフトやサービスとの連携も重要です。もし連携できれば、データの一部をSFAに取り込むことや、SFAから出力して他のシステムに取り込むことができますから、業務効率の大幅なアップにつながります。
SFAとの連携が考えられるソフトやサービスには、以下のものがあげられます。
- Office(ExcelやPowerPoint、Projectなど)
- CRMやMA
- 会計システムや就業管理システム、プロジェクト管理システムなど
御社の事情に応じて、よく使うソフトやサービスとの連携ができないか検討することも、SFAの選定には重要です。
Dynamics 365 for Salesを選ぶメリット
SFAにはさまざまな製品があります。そのなかでもMicrosoftが提供する「Dynamics 365 for Sales」には、さまざまなメリットがあります。ここでは主なメリットを4点紹介し、それぞれについて解説していきます。
・Microsoft製品との十分な連携
Dynamics 365 for SalesはMicrosoft製品の特徴を生かし、以下の製品とシームレスに連携できます。
- Teams
- Outlook
- Excel
- SharePoint
これらの製品とは手間をかけずに連携できるため、営業担当者の生産性向上に役立ちます。
・AIを活用した成約可能性の分析と成約率向上の支援
Dynamics 365 for Sales Insightsを利用すると、AIを用いた分析が行えます。これを用いて営業案件のスコアリングを行い、案件ごとの成約可能性が提示されます。従って上司はどの案件に注力すべきかがわかり、営業担当者に適切なフィードバックを行うなどの行動が可能となるため、効果的な営業活動を行う助けになります。
あわせてDynamics 365 for Salesでは、成約率向上を支援する機能もあります。一例として、以下の機能があげられます。
- 顧客とのやり取りをもとに、どのタイミングでどのようなアクションを取るべきかを提示する
- 案件に関するリスクを提示する
- 市場における顧客のニーズを特定し、表示する
・申し込み後は速やかに利用を始められる
Dynamics 365 for Salesは毎月の利用料を支払うタイプのサービスで、1ユーザー当たり月額7,070円から使えることも魅力の1つです。また申し込み手続きが終わり次第すぐに設定作業が行え、速やかに利用開始することが可能です。従ってサーバーを御社に置くタイプのサービスと異なり、契約後にセットアップのため何週間、何か月も待たされることはありません。
・機能強化や修正プログラムの適用は、マイクロソフトで実施
Dynamics 365 for Salesは使い続けている限り、利用料金の支払いが必要です。一方で利用料金を支払い続けることで、以下のメリットが得られることは見逃せません。
- 利用者が多いため、不具合そのものが見つかりやすく、品質も上がりやすい
- 不具合を修正するための作業は、マイクロソフトで実施
- 機能強化が行われる場合があり、その作業もマイクロソフトで実施
そもそもオンプレミスのSFAを導入した場合でも、一定額の保守料を求められる場合は多いものです。御社のシステム担当者の手を煩わせずに不具合の修正をしてもらえ、さらに機能強化もされるサービスであれば、むしろ安価であるというケースも多いのではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたでしょうか?SFAは営業担当者のみならず、営業部門を管理するという観点でも重要な機能があります。SFAはとかく価格が重要視されがちですが、せっかく導入しても使われないと無駄になってしまいます。従ってSFAを導入する際には、営業活動の改善に寄与するという観点での選定も欠かせません。もしコストを不安視する方は、クラウドで使うSFAを利用して試すことも1つの方法です。
Dynamics 365 for Salesはクラウドで使えるSFAです。1ユーザー当たり月額7,070円から利用できますから、御社の検討候補に加えてみてはいかがでしょうか。
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