組織論

かっこよさこそが現代を突き動かす原動力

はじめに

私たちの生きる現代社会では、AIやテクノロジーの進歩、そして価値観の多様化によって、人の行動原理が大きく変化しています。以前の時代であれば、人を動かすためにもっとも効果があると考えられていたのは「お金」でした。高い報酬やインセンティブ、厚遇などが人材を惹きつけ、モチベーションを高める主要な手段だったのです。しかし、ここ数年、多くの若者やスタートアップのメンバー、そしてクリエイティブな人材を見ていると、その構図が大きく揺らいでいることがわかります。

「お金が全てではない。むしろお金以外の何かに共鳴して動く人が増えている」
その「何か」とは、ずばり「かっこよさ」です。ここで言う「かっこよさ」とは単なる見た目や派手なパフォーマンスではありません。もっと根本的な生き方や姿勢、信念がにじみ出る“あり方”そのものを指しています。いま、人々を熱狂させ、組織を突き動かす原動力として、この「かっこよさ」が注目されているのです。

本記事では、ビジネスの現場における「かっこよさ」の重要性と、それがいかに人を動かすかをご紹介します。リーダーシップや組織づくりにおいて「かっこよさ」がどのような威力を発揮するのかを考察していきます。

「かっこよさ」が人を動かす時代

お金の時代から「かっこよさ」の時代へ

かつて、人材確保において最もわかりやすかった指標が「給料の高さ」でした。求人情報を見ても、「高収入」「高時給」「インセンティブ充実」といった文言が大きく掲げられ、一時的には多くの人がそこに集まりました。しかしながら、近年はSNSやインターネットの普及により、「お金をもらうだけでは得られない価値」に注目する人が増えています。

  • ビジョンの共有: 「自分が社会に対して何を成し遂げたいか」「このプロジェクトを通じてどんな世界をつくりたいか」という想いに共感し、組織に参加する人が増えている。
  • 生き様に対する憧れ: 「この人のように仕事をしたい」「この人と一緒に働きたい」と思わせる“魅力”や“スタイル”が、最大のモチベーションになりうる。

こうした背景から、「かっこいいビジョン」や「かっこいいリーダーシップ」を求めて人材が動くケースが明らかに増えています。かっこいいと思うものに対しては、自発的にコミットしたくなる──それが現代を象徴する変化のひとつだと言えるでしょう。

「かっこよさ」とは何か

では、「かっこよさ」とは具体的にどのような要素によって構成されるのでしょうか。単なる見た目のカッコ良さや、スタイリッシュな演出だけでは人は長続きしません。むしろ、その人や組織の“根っこ”にある信念・価値観・生き様にこそ、「かっこよさ」は宿るのです。

  • 信念を貫く姿勢: 周囲に何を言われても、自分が正しいと信じるものを曲げない。
  • 圧倒的なスピードとスキル: 高いレベルで仕事をこなし、結果を出す力。
  • 常識を覆す挑戦: 誰もが無理だと思うようなことでも、果敢にリスクを取って挑戦する。
  • 独立心と自由: 誰にも媚びず、しかし他者を尊重しながら自立した考えを持つ。
  • チームを鼓舞するリーダーシップ: 自分が率先してリスクを背負い、仲間の意欲をかきたてる存在感。

こうした姿に、人は自然と「共鳴」し、「自分もこう在りたい」「この人と共にいたい」という気持ちを抱くようになります。それこそが、お金では買うことができないモチベーションの源泉となるのです。

お金で人を動かすことの限界

金銭的モチベーションは条件付き

もちろん、お金で人を動かすこと自体はある程度有効です。ビジネスの世界では、給与やボーナスは重要な要素ですし、経済的な安定を得たいと考えるのは自然なことです。しかし、金銭的な報酬のみをモチベーションの柱とする場合には、大きなリスクが伴います。

  • もっと高い条件が提示されれば、人は簡単に流出する
    いわゆる「より良い報酬」を求めて転職や離脱が起こりやすい。
  • 金銭的モチベーションは持続しにくい
    一度高い給料を得ても、それが「当たり前」になると、新たな報酬アップがない限りモチベーションは上がりにくい。
  • 組織やビジョンへのコミットメントが薄い
    お金に惹かれている場合、「この組織じゃなくてもいい」や「ビジョンには興味がない」という姿勢につながりやすい。

かっこよさで惹かれる人材は離脱しにくい

これに対し、「かっこよさ」に惹かれて集まる人は、その組織やリーダーの価値観、ビジョンに共感していることが多く、簡単には離脱しません。たとえ厳しい環境におかれても、「この人と働きたい」「このプロジェクトに賭けたい」という思いがエンジンとなり、継続的に力を発揮してくれます。

例えばスタートアップでは、資金力やブランド力で大企業に敵わないなかでも、創業者やチームの「かっこよさ」によって優秀な人材を引き寄せ、結果的に大きな成果を出すケースが増えています。お金ではなく、ビジョンに共鳴し、メンバー自身が「自分事」として取り組むからこそ、不可能に思えるような目標を達成してしまうのです。

スタートアップやリーダーに求められる「かっこよさ」

なぜスタートアップに「かっこよさ」が必須か

スタートアップの経営者やリーダーには、資金繰りや顧客開拓、組織づくりなど、多岐にわたる困難が待ち受けています。大企業のような潤沢なリソースがない中で、どのようにして優秀な人材を巻き込み、困難に立ち向かうのか。その鍵が「かっこよさ」なのです。

  • スピード感: 思いついたことをすぐに形にして世に出す。俊敏に動く姿は多くの人に刺激を与えます。
  • 挑戦と失敗の繰り返し: 失敗を恐れず、リスクをとってでも新しいことに挑む。その姿勢は周囲を奮い立たせます。
  • 顧客や社会への本気度: お金儲けだけではなく、「社会をこう変えたい」「この課題を解決したい」という純粋な意志が人を惹きつけます。

リーダー自身の生き様がブランドになる

現代では、リーダー個人の生き様そのものがブランドとなることが増えています。たとえばイーロン・マスクは、常に既存の常識をぶち破るようなビジョンを掲げ、実行してきました。火星移住計画、電気自動車の普及、人間の脳とAIの接続など、そのスケールの大きさに多くの人が「かっこいい」と共鳴し、彼のもとに才能が集まっています。

日本でもサイバーエージェントの藤田晋氏、メルカリの山田進太郎氏、ZOZOの前澤友作氏など、若い世代に強い影響力を持つリーダーが数多く台頭しています。彼らは経営手腕のみならず、個人的な生き方や挑戦が注目され、「どんな人生を送っているのか」がメディアを通じて広く知れ渡ります。そして、その“ストーリー”こそが組織やサービスにも反映され、かっこよさを生む源流となっているのです。

幻影旅団のクロロに見る究極の「かっこよさ」

ここで少しビジネスの世界から離れ、『HUNTER×HUNTER』という漫画作品に登場するキャラクター、「幻影旅団」のリーダー・クロロを例に挙げてみましょう。彼は盗賊集団というダークな組織を率いていますが、そのリーダーシップや存在感には学ぶべきポイントが多く、まさに「かっこよさ」の塊とも言えるキャラクターです。

クロロの魅力1:揺るぎないリーダーシップ

幻影旅団のメンバーは、個性も能力もまったく異なる強者揃いです。しかし、彼らがクロロに心服して集まっているのは、「お金のため」だけではありません。むしろ、「クロロという存在そのものが放つ魅力」に惹かれているのです。クロロは自分が目指すことや、組織としてやるべきことをブレずに持ち続け、メンバーに対してもそのビジョンを共有しています。

ビジネスにおいても、強いリーダーほど「何を成し遂げたいのか」「どんな価値を創出したいのか」が明確です。そして、そのビジョンを周囲と共有し、共感を得ることで組織を一枚岩にします。クロロが担っているのは、まさにその“ビジョン提示”と“共感の獲得”なのです。

クロロの魅力2:メンバーを尊重する姿勢

幻影旅団のメンバーは、それぞれに強烈な個性や能力、過去を背負っています。彼らが集団として成り立っているのは、クロロがメンバー一人ひとりを尊重し、適切に役割を与えているからです。さらに、彼自身がメンバーを駒扱いするのではなく、仲間として信頼し、時には自らが前線に立つ覚悟も示します。

ビジネス組織でも、「かっこいいリーダー」は部下やメンバーを対等なパートナーとして扱います。命令口調や強制ではなく、メンバーの自主性と創造力を引き出すようなコミュニケーションを心がける。そして自分がリスクを背負う時は迷わず先陣を切る。そうしたスタンスに人は「この人となら挑戦したい」と感じるのです。

クロロの魅力3:計り知れない知略と冷静さ

クロロは状況分析や戦略立案に優れ、危機に瀕しても冷静に対応します。独自の能力(作中では他者の能力を盗み、使いこなす力)を活かして多彩な戦術を繰り出し、メンバーを最大限に活かす。それでいて、自分自身の突出した部分だけを誇示せず、集団全体を強くすることに注力します。

ビジネスリーダーとしても、変化の激しい市場や競争環境の中で冷静に戦略を立て、チームのリソースを適材適所で活用する能力は不可欠です。どれほど強力なリーダーであっても、自己顕示だけを目的にするのではなく、組織全体のパフォーマンスを高めることに注力する。その姿勢こそが真のリーダーの「かっこよさ」なのではないでしょうか。

クロロから学ぶ「かっこよさ」の本質

クロロというキャラクターが、ある種“悪役”ながらも多くの読者を惹きつける理由は、その行動原理や生き様に筋が通っているからです。メンバーや仲間を大切にする姿勢、ぶれることのないビジョン、そして状況を俯瞰して冷静に最適な判断を下すリーダーシップ。これらはいずれも「かっこよさ」を構成する重要な要素と言えます。

ビジネスの世界でも、社員や仲間が尊敬し、憧れを抱くようなリーダーには、必ずと言っていいほど“筋の通った行動”や“ぶれない信念”があります。形だけの演出ではなく、実際の行動や結果を通じて「本物」を示すからこそ、人はついていくのです。

実例:ビジネスで花開く「かっこよさ」

イーロン・マスクの例

先述の通り、イーロン・マスクは「火星移住」「電気自動車の普及」など、世界を変えるような大胆なビジョンを提示し続けています。従業員への報酬が業界最高峰かと言われれば、必ずしもそうではないかもしれません。しかし、SpaceXやTeslaには世界中の優秀なエンジニアやデザイナー、研究者が集まってくるのです。それは「地球規模」「宇宙規模」の課題に本気で取り組もうとする彼の姿勢が、圧倒的にかっこいいからと言えるでしょう。

日本の経営者たち

日本でも、サイバーエージェントの藤田晋氏は若くして起業し、インターネット広告事業やメディア事業を軌道に乗せながら、アメーバブログやAbemaTVといった巨大プラットフォームを築き上げています。そのスピード感と挑戦心、そしてトップが積極的にメディアに露出する姿勢は、多くの若者に「自分も経営者になりたい」「ベンチャーに飛び込みたい」と思わせるきっかけになりました。

また、メルカリの山田進太郎氏は「使わないものを必要としている人に届ける」というシンプルで革新的なビジョンを貫き、日本国内のみならず海外展開にも挑戦しています。世界的な視点で見ても、フリマアプリという新市場を切り拓いたその行動力と胆力は、多くの若者や起業家を鼓舞しています。

彼らに共通するのは、「お金を稼ぎたい」という欲求以上に、「新しい価値を生み出し、人々の生活を変えたい」という想いが強いこと。そして、その想いを全力で体現する生き様こそが、人々に「かっこいい」と感じさせるポイントなのです。

組織づくりにおける「かっこよさ」の応用

プロダクトやカルチャーに宿る美学

リーダー個人の魅力だけでなく、組織やプロダクトそのものにも「かっこよさ」が求められる時代です。例えば、SlackやNotion、FigmaといったSaaS企業は、その洗練されたUI/UXやデザイン思想、ユーザーコミュニティへの姿勢が評価され、多くのファンを獲得してきました。機能や価格だけではなく、「使っていて気持ちがいい」「開発者の思想に共感できる」という点がユーザーを惹きつけているのです。

美学を貫くことで共鳴が生まれる

「顧客が本当に欲しい体験は何か」「このサービスを通じて、ユーザーにどんな価値や感動を与えられるのか」を突き詰める企業は、その姿勢そのものがかっこよく映ります。機能拡張だけを目的にするのではなく、自分たちが考える“美学”を妥協なく追求し、細部にまでこだわる。そのこだわりが、使い手にとっての“共鳴”を生み出すわけです。

こうした組織やプロダクトには、「こんな素敵なサービスを作っている会社で働きたい」「こんなワクワクするビジョンに貢献したい」という共感が自然に集まってきます。結果として人材が集まり、マーケットでの評価も高まり、企業価値がさらに上がるという好循環が生まれます。

まとめ:これからの時代、「かっこよさ」は最強の戦略

現代において、「かっこよさ」は単なる美意識や嗜好の問題ではなく、戦略として捉えることができるほど重要な要素になっています。採用、マーケティング、マネジメント、ブランディングなど、あらゆる経営活動において必要なことは「いかに人の心を動かすか」です。そこにこそ、かっこよさが大きな威力を発揮します。

幻影旅団のクロロが持つリーダーシップ、イーロン・マスクが示すような壮大なビジョン、日本の若き起業家たちが体現するスピードと挑戦心。そしてSlackやNotion、Figmaといった企業が示すプロダクトの美学。いずれも、お金だけでは決して生まれない「かっこよさ」が、多くの人々を熱狂させています。

ビジネスリーダーであれば、まずは「自分自身の信念や行動はかっこいいか?」と問いかけてみてください。

  • 周りの目を気にしすぎていないか?
  • 本当にやりたいことにフルコミットしているか?
  • 仲間を尊重し、常にリーダーとして先陣を切っているか?

そして、その姿勢を組織全体に浸透させ、プロダクトやサービスにも宿らせることで、自然と「この人やチームと一緒に仕事がしたい」と思う仲間や顧客が集まってきます。これはまさに、幻影旅団のメンバーがクロロに惹かれる構造と同じです。お金や命令だけではなく、「このリーダーとなら面白いことができる」「この人の思想やスタイルが好きだ」という感情的な共鳴が人を動かす最大の原動力になるのです。

これからの時代を切り開くうえで、私たちは「かっこよさ」をもっと貪欲に追求していく必要があります。それは、単にビジネスにおける利益を追い求めるためではなく、共鳴し合う仲間やユーザーと共に、新しい未来を創造するためのエネルギー源として、かっこよさは欠かせないのです。

もしあなたがリーダーであるなら、そのかっこよさを行動によって示し続けてください。もしあなたがこれからリーダーを目指すなら、「自分にしかできないかっこいい未来」を描き、そのビジョンにコミットしていきましょう。幻影旅団のクロロが見せるようなぶれない心と、仲間を巻き込む意志。そしてスタートアップの創業者たちが示すような常識を超える挑戦。これらすべてが融合した先に、本当の意味で「人を動かす力」が生まれるのではないでしょうか。

ROITとしても、私たち自身のビジョンや哲学を大切にしながら、“かっこよさ”にこだわった情報発信やサービス提供を続けていきたいと考えています。それこそが、私たちが信じる真のイノベーションを起こす原動力になると確信しているからです。

最後に、改めて強調します。
「人を動かす原動力はかっこよさである」
これはビジネスだけでなく、人生のあらゆる場面に当てはまる真理と言えるかもしれません。あなたも、自分自身が「かっこいい」と胸を張って言えるような行動を一つずつ積み重ねてみてください。その先にきっと、自分でも想像しなかった新しい景色が広がっているはずです。

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