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Dynamics365とTeams電話の連携について

1. Dynamics365とは?

Dynamics365は、Microsoftが提供するクラウドベースのビジネスアプリケーションスイートです。顧客関係管理(CRM)とエンタープライズリソースプランニング(ERP)の機能を一体化し、企業の営業、マーケティング、サービス、財務、サプライチェーンなど、さまざまな業務を統合的に管理できます。
特に、顧客データの一元管理と、データに基づく分析や自動化機能が強みです。例えば、顧客の購入履歴や問い合わせ履歴をもとに、適切な営業活動やサポートを提供することができます。また、Power Platformと連携して業務アプリを構築したり、AI機能を活用して予測分析を行ったりと、業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのツールが豊富に揃っています。

2. Teams電話とは?

Microsoft Teams電話は、クラウドベースのコミュニケーションプラットフォームであるMicrosoft Teamsの音声通話機能を拡張したものです。従来のPBX(構内交換機)を置き換えるクラウドPBX機能を提供し、企業内外での電話通話をTeams上で一元的に管理できるようにします。
Teams電話は、従業員間の内部通話はもちろん、顧客や外部取引先との通話もサポートしています。通話機能に加え、音声メッセージの記録、通話の転送や自動応答の設定、会議機能の統合など、ビジネスシーンに適したさまざまな機能を提供します。さらに、Microsoft 365と統合されているため、スケジュールやメールといった他の業務ツールとスムーズに連携できます。

3. Dynamics365とTeams電話の連携機能について

Dynamics365とTeams電話を連携させることで、顧客対応や内部コミュニケーションを飛躍的に向上させることができます。以下は、主要な連携機能の紹介です。

  • 顧客情報の即時アクセス: Teams電話から顧客に電話をかけた際、Dynamics365内の顧客情報を自動で表示させることができます。これにより、過去の取引履歴や対応状況を即座に確認でき、個別のニーズに応じた対応が可能です。
  • 通話内容の記録と分析: Teams電話での通話内容をDynamics365に記録し、後から分析することが可能です。例えば、営業活動の成果を追跡したり、顧客からのフィードバックをもとにサービス改善を行ったりする際に役立ちます。通話のテキスト化機能を活用すれば、会話の内容を自動で文字起こしし、検索や分析に利用できます。
  • 営業活動の効率化: Dynamics365の営業活動機能とTeams電話を組み合わせることで、通話から直接商談を記録したり、案件の進捗を更新したりすることが可能です。これにより、営業担当者がツールを切り替えることなく業務を進められるため、業務効率が大幅に向上します。
  • 共同作業の強化: Teams内でのチャットや会議と、Dynamics365の顧客情報やプロジェクト情報をシームレスに共有できます。これにより、顧客対応に関わる複数のメンバーが迅速に情報を共有し、連携して対応することができます。

4. 連携で効率化される業務について

Dynamics365とTeams電話の連携によって、以下のような業務が効率化されます。

  • 顧客対応のスピードアップ: 顧客からの問い合わせに対し、電話応対中にすぐに顧客の履歴を参照できるため、回答時間が短縮されます。また、過去のトラブルシューティングの履歴を確認しながら対応することで、同じ問題を繰り返さず、より的確なサポートが可能です。
  • 営業活動の自動化: 営業担当者が顧客と通話を行った後、通話の結果をDynamics365に自動で記録することができます。これにより、営業活動の記録が漏れなく残り、フォローアップのタイミングを逃さずにアプローチできます。自動化されたワークフローで、次のアクションを促進するリマインダーを設定することも可能です。
  • コラボレーションの向上: 営業担当者、サポート担当者、マーケティング担当者がTeams上で簡単にコミュニケーションを取れるため、顧客対応に関わる情報共有がスムーズに行えます。例えば、複雑な案件や緊急性の高い問題についても、社内で即座に協議し、解決策を導き出すことができます。
  • 通話データの分析による戦略立案: Dynamics365に蓄積された通話データを分析することで、顧客のニーズやトレンドを把握できます。これにより、マーケティング戦略やサービスの改善策をデータに基づいて立案することが可能になります。さらに、AIを活用した予測分析により、今後の顧客行動を見越した提案を行うこともできます。

5. 導入のステップ

Dynamics365とTeams電話の連携を実現するためには、以下のステップを踏むことが重要です。

  1. 要件定義: 自社のコミュニケーションと顧客対応の課題を明確にし、Dynamics365とTeams電話で解決したい機能や改善点を整理します。
  2. ライセンスの取得とセットアップ: Dynamics365とTeams電話のライセンスを取得し、設定を行います。必要に応じて、Microsoft 365のライセンスも併せて検討しましょう。
  3. Teams電話の環境構築: Teams電話の設定を行い、通話のルーティングや音声自動応答(IVR)の設定を実施します。また、顧客情報と通話内容をリンクさせるための初期設定もここで行います。
  4. Dynamics365との連携設定: Teams電話とDynamics365の連携設定を行い、顧客情報の同期や通話の記録機能を有効化します。Power Automateを活用して、特定の条件で自動処理を行うワークフローを設定するのも有効です。
  5. トレーニングと試運用: 実際に業務で使用する担当者向けにトレーニングを実施し、試運用を行います。この段階で操作性の確認やフィードバックを集め、設定の最適化を図ります。
  6. 本格導入と運用開始: 試運用の結果をもとに調整を行い、本格的な運用を開始します。運用後も定期的にシステムの改善を行い、業務効率の向上を図りましょう。

6. まとめ

Dynamics365とTeams電話の連携により、顧客対応のスピードと質が大幅に向上し、営業活動や内部のコミュニケーションも効率化されます。この統合によって、顧客データをもとにした最適な対応や、チーム全体での情報共有が容易になります。
さらに、通話データの分析やAIを活用した自動化機能を組み合わせることで、業務の最適化を図り、競争力の強化に繋がります。適切なステップを踏んで導入し、企業全体でのデジタルトランスフォーメーションを加速させましょう。Dynamics365とTeams電話の連携による新しい働き方を取り入れて、ビジネスを次のステージへと進めていきましょう。

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